日本チェーンドラッグストア協会によると、ドラッグストアの市場規模は7兆円にまで発展しており、スーパーマーケットの12兆円にはまだ届かないが、百貨店の6兆円弱を、既に上回っている。
2000年頃のドラッグストア業界は3兆円産業と言われていたので、過去20年間で2倍以上に伸長している。ドラッグストアは低成長とデフレが続き、少子高齢化が進む日本で、数少ない成長分野の1つだ。今回のコロナ禍で、国民にとって必要不可欠な生活インフラとして、認められたのではないだろうか。
ドラッグストアは当然のことながら、コロナ予防対策になるマスク、アルコール消毒液、体温計などの衛生用品を専門に販売している。しかし、そればかりではなく、トイレットペーパーのような家庭用雑貨、近年は冷凍食品、カップ麺、カレーなどのレトルト食品、パンのような加工食品も充実しているので、日常生活に必要な商品がワンストップで揃うようになっているのが魅力だ。
福井県に本社をもつ「ゲンキー」が120%成長できた理由
勝ち組でピックアップすると、年商トップ10からは漏れるが、ゲンキー(Genky DrugStores)という中堅チェーンが、3月、4月と2カ月連続で前年同月120%を超える高い成長率を示しているのが目を引く。
ゲンキーは福井県坂井市に本社を有し、北陸を基盤に、近年は名古屋近郊など中京圏にも店舗を広げているチェーン。5月中に石川県に5店、愛知県に2店の計7店を、約999平米もの大規模な売場面積で出店する。
【ゲンキーのお店】
— ゲンキー株式会社【公式】 (@genkysaiyo) August 23, 2019
ゲンキーが今出してる店舗は全て標準化店舗です!
店舗面積・品揃え・レイアウトが統一されています!
違うのは、写真のように入り口が左右で違うだけです。
中身は写し鏡状で、鏡像異性体状態です!
(キムタオル⇔キムワイプ…ぼそッ)#GENKY#キムタオル#キムワイプ pic.twitter.com/EfxOHQn5VV
しかも、ゲンキーは単に売場が大きいだけでなく、生鮮食品、惣菜・弁当を戦略的に強化して販売する、特異な“生鮮ドラッグ”のビジネスモデルだ。一般のドラッグストアでは、冷凍食品、カップ麺、袋菓子のような加工食品を積極的に強化していても、生鮮への深入りを避けている。また、惣菜・弁当の内製化まで踏み込んでいるチェーンも多くない。その点で、差別化ができている。
ゲンキーの2020年6月期第2四半期決算によれば、商品別の売上構成比で、食品が61.7%を占め、医薬品の9.7%を大きく上回っている。雑貨14.1%、化粧品12.8%、その他1.7%である。その実態は、薬や化粧品も売るスーパーと考えた方がいいのかもしれない。