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 本来ならば急に駅名が変わって降りるところを間違えたとか、わかりにくくなったとかそういうトラブルが起こって話題になっていたはず……いつも使っている人にとっては駅名変更もあまり戸惑うことはないが、空港の駅のように多くの人がたまにしか利用しない場合、駅名変更はややこしいものだ。

 しかし、この春は肝心の羽田空港自体、ほとんど誰もやってこない状況になってしまった。準備を整えて拡張した国際線はほとんど飛んでいないし、国内線だって利用する人はごくまばら。そういう状況下では、羽田空港の駅名変更は取るに足らない小さなニュースになってしまったのだろう。そしてちなみに、京急では同じタイミングで他にもいくつかの駅名を変更している。これこそ、“ひっそり”という言葉がふさわしいが、それはまた別の機会に取り上げることにしたい。

GWの期間、空の便では国内線95%減、国際線98%減だった。閑散とする羽田空港第2ターミナル ©共同通信社

 札沼線の廃線は別として、新幹線の特大荷物スペースも羽田空港の駅名変更も、来たるべき東京オリンピックやインバウンド客の増加にあわせた動きのひとつであった。4月の訪日外国人客が前年比99.9%減と報じられたが、制度導入や駅名変更の発表時には、とうぜん今の状況が想像できたわけはない。「コロナだからやっぱりやめます」というワケにもいかず、仕方がないと言うほかない。

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 ガラガラの新幹線の片隅の特大荷物スペースと、羽田空港の新駅名。GWに最後の人集めを託されつつも果たせなかった北国のローカル線――世間から忘れられたニュースにも、少しだけ目を向けてみたいものである。