福田氏によると、腸内細菌の種類やバランスは人によって異なるため、効果が望める食材も人によって異なり、誰にでも効果のあるスーパー食材というものは残念ながらなさそうだ。
“プレバイオティクス”が腸内フローラのエサになる
「腸内フローラから産生される短鎖脂肪酸が免疫力アップに関わることが報告されているので、さまざまな食品を幅広く食べることをおすすめします。特に腸内フローラのエサとなるプレバイオティクス(食物繊維やオリゴ糖など)を摂ることです。自分の体に合うと感じられる乳酸菌やビフィズス菌が入ったヨーグルトや発酵食品などがあればそれもいいでしょう。腸内フローラに短鎖脂肪酸を産生させるには、いろいろなエサを用意する必要があります。腸内細菌は私たちが口にしたものにしかありつけないので、食生活を正し、きちんと面倒をみてあげましょう」
また新型コロナでは、サイトカインストームと呼ばれる免疫系の暴走で重症化するケースが多いことが報道されている。やはりサイトカインストームによる死亡が多かったと推測されている100年前のスペイン風邪の際、日本では比較的致死率が低かったと考えられているが、日本人が多く食べていた海藻に含まれるフコイダンという食物繊維がサイトカインストームを起こしにくくしたのではないかと推測されている。
「フコイダンが腸内フローラを介して免疫系に働きかけた結果、感染を抑制した可能性はあるかもしれません」
当時のウイルスはもう存在しないため結論は出ていないが気になるところだ。
新型コロナウイルスはいったん落ち着きそうな気配を見せているが、第2波、第3波の到来も懸念されている。今からでも食生活を工夫し、免疫力アップに励みたい。
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腸内フローラを食事で鍛え、全身の免疫機能をアップさせるにはどうしたらいいのかについて福田真嗣氏が詳しく解説する「『腸内細菌』を食事で鍛える」の全文は、「文藝春秋」6月号および「文藝春秋 電子版」に掲載されている。
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納豆、エリンギ…「腸内細菌」を食事で鍛える
【文藝春秋 目次】<総力特集202頁>緊急事態を超えて ウイルスVS.日本人 山中伸弥 橋下 徹/磯田道史「続・感染症の日本史」/WHOはなぜ中国の味方か
2020年6月号
2020年5月9日 発売
定価960円(税込)