しかし困窮家庭で特徴的なのは、
「食事が不規則になった」
が上位にあることだ。
この理由を渡辺氏はいう。
「ひとり親の家庭では、1日3食、子どもに食べさせられないといいます。経済的に苦しいので、子どもが朝起きてこないと、『まあいいか』と朝昼を一緒にして食事の回数を減らす。3食食べさせた方がいいのは分かっていますが、親も買える材料が限られているので、だんだんと食事がおろそかになるのです」
学校再開後の不登校児童が増えるおそれ
さらに渡辺氏によると、困窮家庭では狭いアパートに親子がずっといなければならず、年頃の子どもであっても個室が無いのでプライベートな空間が確保されない。
「だから勉強もする気にならず、理由も無くイライラするケースが多い」(渡辺氏)。
こうした住居環境もあり、子どもの学習面での困り事についての調査では、「家で勉強する気がおきない」のが最も多い。渡辺さんは、困窮家庭の中でもひとり親の家庭が、特に子どもの学習面は厳しいという。
「パートの仕事は行かないと給料をもらえないので、子どもが10時間以上1人でいるのが不安でも放置せざるをえません。子どもは放置したら勉強しません。特に勉強が苦手な子は、教えてもらわないと1人では出来ないのに、誰もいないのでやれません。ですから休校の間に学力格差は、さらに広がるだろうと思います」
学校が再開された後も問題がある。
「学校が再開しても、子どもが行けるかどうか心配だという話を親からよく聞きます。気力が無くなり、昼夜逆転している子どももいるので、毎日決まった時間に学校に行くのが難しくなって、不登校が増えるだろうなと。困窮家庭はさまざまなところが崩れているのです」
セーフティネットとして機能しない学校も
キッズドアでは4月末頃から、オンラインの学習支援も始めた。延べ500人以上の生徒にマンツーマンなどで学校の課題を教えたりしている。キッズドアは支援を始める際、インターネットの環境調査を行ったが、渡辺氏は困窮家庭のオンライン環境の状況に驚いた。