「その財政措置はどうなるのでしょう。半年分は無償、学費は要らないとならない限り、耐えられない家庭が出てきます。どうやって日々ご飯を食べていくか悩んでいる家庭に、あと半年といわれても無理ですし、こうした家庭の子どもはどんどん脱落していくことになります。ですから9月入学はいまではありません。コロナがもう少し落ち着いてからです」(渡辺さん)
アフターコロナは子どもを皆で支える社会に
アフターコロナで、困窮子育て家庭にどんな「新しい日常」が来るのか渡辺氏に聞いた。
「緊急事態宣言が解除され、経済が回復に向かっても、最後まで苦しい時期が続くのがひとり親家庭です。なぜ子育て世代が大変かというと、平時から税の再分配があまりにも高齢者に偏っているからです。困窮子育て家庭には、家も貯金もない。コロナで仕事を失い収入も無い人達がいて、今日のご飯も食べられない状況です」
キッズドアで今月、困窮子育て家庭に文房具など「応援パック」を配布したのは前述の通りだ。親からは「中学に進級したけれどノートが買えなかったので嬉しいです」「ノートやペンをお金がないから買ってあげられなかった」という声が寄せられたという。
日本の出生数は2016年に統計開始以来、初めて100万人を割った。そしてそのわずか3年後の2019年には、90万人を割り込んで86万人となっている。渡辺さんはいう。
「子どもを持つこと、育てることに若い人はものすごく不安を覚えています。一人親の家庭に対しても、これまでは『好きで離婚したのだから自分でやれ』と多くの人が考えていました。しかしこれを機会に、『子どもは社会が皆で育てていくんだ』となればいいなあと思います」
コロナの感染拡大が始まった当初は、外にいる子どもを怒鳴りつけ、ばい菌扱いする大人もいた。
「私は高校生まで児童手当を延長し、困窮家庭には特別給付金を継続的に出して欲しいと訴えています。アフターコロナは子どもを社会で支えるのはどういうことか、もう一度皆が考える時期では無いかと思います」(渡辺氏)
子どもたちを支えない社会に、未来はやってこない。
アフターコロナをつくるのは、いまの子どもたちなのだ。
【執筆:フジテレビ 解説委員 鈴木款】