最高の場面は「カネやんの背中に馬乗りになる一茂」
他にも渥美清から若き日の苦労話を聞きだしたりと読みどころの多い『失礼!金田です』だが、極めつけは当時5歳の長嶋一茂との対談。「カズシゲ君、遊びましょ」と長嶋家を訪ねて行ったはいいがまだ幼稚園から帰ってきていない。しばらく待機した後にいきなり「オース!」と勢いよく帰宅すると、「バカたれ、おまえたちい!」と取材陣に言い放つ一茂。これには百戦錬磨のカネやんも「いや参りました。巨人のころはオヤジ(注・茂雄)のものに動じない“殿様”ぶりにも参ったが、若殿は大殿以上の大物だ」とタジタジ。その後も「大きくなって選手? いやだよう。絶対にならない」と断固野球選手になりたくないと主張し、カネやんの背中に馬乗りになる一茂。その後の一茂を思うとあらゆる意味で最高の回になっているのだ。
この企画がきっかけかどうか、その後も幾多の芸能人との対談をこなし、週刊ポストでは『カネやんの美女対談 秘球くいこみインタビュー』を連載。本人も「これのおかげで野球殿堂入りが10年遅れた」と嘆くほどのエロ絡みの際どい質問を山口百恵やピンク・レディーらに浴びせ、同じくポスト誌上では自らカメラを手にとりポルノ女優のヌードグラビアまで撮っていたカネやん。そういえば今は亡き愛川欽也司会の日本テレビ『木曜スペシャル 世界ビックリ大賞』で超ビッグサイズの女性のバストを嬉しそうに持ち上げていたこともあった。1980年代にはそんな「巨人びいきで腹立たしいけどどこか憎めないエッチなおじさん」だったカネやんは、何歳になってもバイタリティ溢れるおじいちゃんで、ずっと元気でいてくれると思っていた人も多いのではないか。
金田さんのご冥福を心よりお祈りいたします。