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「ピンチと思うな、チャンスと思え」ロッテ・鳥谷敬が座右の銘に込めた思い

文春野球コラム Cリーグ2020

2020/06/06
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現役を続けて欲しいと応援してくれる人たちを支えに

 早稲田大学を卒業して16年間。2000本安打を達成し虎のレジェンドと呼ばれた。名門球団のスターとしてプロ野球の第一線で羽ばたき続けていた男は今年の2月、孤独の真っただ中にいた。それは自分自身と向き合う作業を繰り返す日々であった。支えは周囲の声だった。

「家族を含めた周りの人たちの存在は大きかった。自分以上に現役を続けて欲しいと思ってくれている人たちが沢山いた。気持ち的にはそれが一番だった」

 野球を続けることを応援してくれる家族や周囲の存在。そして自身の野球への想い。打って、走って、守れるプロ野球選手としての自身のあるべき姿を機会さえあれば見せることが出来る自信と自負を確認し続けた。だから、黙々とガレージで汗を流しチャンス到来を待ち続けた。そして吉報が届いた。

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 プロ野球は新型コロナウィルス感染予防の観点から開幕が大きく遅れ練習も制限される状況となった。プロ野球界だけではなく社会全体が我慢と制約を強いられている。悪化する状況に街はどこか重苦しい。そんな中で鳥谷が前を向く。

「難しい状況で困難な日々だけど、なんとかこれを力に変えて、今後の人生の糧にして欲しいと思うし自分はそうありたいと思う。この経験は今後に絶対に生きることがあると思う」

 ピンチに嘆き悲しむのか。その中で何が出来るのかと、もがき、考え、進み、チャンスに変えるのか。孤独の日々を乗り越え今を迎えた鳥谷の言葉が胸に響く。6月19日、ようやくプロ野球は開幕の時を迎える。背番号「00」となり、生まれ変わった鳥谷が新天地で躍動する。ファンの希望となる。限られた条件下を不遇と嘆くことなく前を向き、大切なものを見つけた男が美しい感動を呼ぶ。

梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)

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