商店街の先には、見たことのない光景が!
しばらく歩いてみると、アーケードが一旦途切れ、踏切が現れる。すぐ近くに近畿日本鉄道の瓢箪山駅があり、遮断機が下りると短時間で多くの人や自転車が滞留していく。踏切の先では、再びアーケードに突入する。こちらは、サンロード瓢箪山商店街だ。
線路を挟んだ2つの商店街は、いずれも瓢箪山という地名が付けられている。その名にちなんで、瓢箪をあしらったデザインがあちらこちらに見られる。商店街は多くの人で賑わっていて、この時間、車ではとても走れそうにない。とはいえ、夜間は自動車が通るため、商店の間には速度制限を示す道路標識が顔を覗かせている。
私は20時になるのを待ち、自動車で商店街に入ってみた。商店街の人通りに大きな変化はなく、相変わらず賑わっている。だがそこへ、正面からも、後ろからも、次々と車が進入してきた。往来するのは、車だけではない。多くの歩行者もいる。
予想外の面白さこそ酷道の魅力
進むタイミングをうかがっていると、原付が車の間を縫うように爆走していった。歩行者、原付、自動車が入り乱れ、大変な状況になる。これは、山間部の酷道よりも走りにくい道かもしれない。そして恐らく、この時間帯が最も過酷を極めている。“酷道170号”の真骨頂は、20時過ぎにやってくるのだ。
このように、酷道にも様々な“酷さ”と魅力がある。山村部の集落を貫く酷道では、地元の方にお話を伺ったり、偶然見つけた廃墟を覗いてみるなど、予想できない面白さもある。同じ酷道であっても、行く時間帯や季節によっても表情は異なる。落ちて死なないように注意は必要だが、たまにはバイパスをやめて酷道を走ってみると、思いがけない楽しさが待っている……かもしれない。
撮影=鹿取茂雄