岡山にも警戒区域拡大か
山口組と神戸山口組の双方は2020年1月、特定抗争指定暴力団に指定されている。双方の拠点がある神戸市や名古屋市など6府県の10市には警戒区域が設定され、5人以上で集合するほか事務所に立ち入れば即逮捕される厳しい規制下にある。
しかし、今回、銃撃事件が起きた岡山市は警戒区域ではなかった。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、人数を限定していたとはいえ、池田組の法要には少なからぬ幹部らが集結していた。特定抗争指定暴力団に指定されているものの、池田組事務所周辺は、警戒区域外で言わば野放し状態だった。2016年に続き再度、池田組で銃撃事件が起きたため、暴力団業界では「岡山市が特定抗争指定の警戒区域に設定されるのではないか」との憶測が飛び交っている。
ある警察庁幹部は次のように明かす。
「撃たれたのは神戸(山口組)側の池田組で、やったのが山口組側と、4年前と今回と構図は同じで、双方の分裂をきっかけとした対立抗争が原因。岡山市を警戒区域に設定するといった方向性は出てくるだろう」
対立抗争事件を繰り返して特定抗争指定暴力団に指定されたケースの一つが、2012年の福岡県に拠点がある道仁会と九州誠道会(現・浪川睦会)だ。その後、双方が抗争事件を引き起こさないと警察当局に申し入れ、実際に事件が発生しなかったため、2014年6月に解除されている。
この道仁会と九州誠道会の前例を踏まえ、別の警察庁幹部は、次のような見解を示す。
「九州のケースでは事務所の使用禁止などの強い規制に音を上げて、双方の組織が白旗を上げた。しかし、6代目(山口組)と神戸(山口組)の場合は、全くそのような気配はない。警戒区域設定の拡大だけでなく、特定抗争指定暴力団の指定を半永久的に継続しなければならないのではないか」
警察はこの事態を静観することはない。さらに規制強化で、6代目山口組、神戸山口組双方の活動制限に乗り出す方針を強く打ち出すこととなるだろう。
(文中敬称略)