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“鉄の掟”を破ったヤクザの行く末は?「四ツ木斎場事件」と「前橋スナック無差別乱射」のトラウマ《現役幹部が証言》

2020/06/07

genre : ニュース, 社会

「法事の後に発砲事件があったと知ったとき、『なんてことをするんだ』と怒りが湧いた。ヤクザの業界ではトラブルがあれば、ケンカは止められない。よくあることだ。しかし、ケンカをするにしても、相手の法事の時にやるのはタブーだ」

 そう語るのは、ある指定暴力団の幹部だ。

6代目山口組の高山清司若頭(左端) ©時事通信社

 岡山市内で5月30日に発生した、神戸山口組系池田組若頭が6代目山口組系大同会幹部に銃撃され、重傷を負った事件。タブー破りともいわれるその犯行は、ヤクザ業界でも大きな話題となっている。この幹部が続ける。

「特に書面や文書がある訳ではないが、業界の常識というものがある。慶事でもダメだ。例えば、親分の襲名披露だとか、祝い事の時もケンカは控えるということになっている。葬祭を狙った事件など、今回の池田組の事件のほかには、住吉会の幹部2人が射殺された四ツ木斎場の事件ぐらいしか聞いたことがない」

「法事でケンカ」のトラウマとなった事件

 この幹部が指摘する住吉会幹部が射殺された事件は、2001年8月に東京都葛飾区の葬儀場である四ツ木斎場で起きた。いまでも業界の“トラウマ”とまで言われる「タブー破り」の事件だ。

 当日は、都内に本部を置く住吉会向後睦会の幹部の通夜だった。そこに参列中だった向後睦会会長の熊川邦男が射殺され、さらに熊川の近くにいた住吉会滝野川一家総長の遠藤浩司にも銃弾が当たり死亡。別の幹部も重傷を負った。

住吉会幹部が射殺された四ツ木斎場を現場検証する捜査員ら(2001年8月) ©時事通信社

 事件を引き起こしたのは、当時対立していた稲川会の大前田一家の幹部2人だった。