雅子のキャリアや人格を否定するような動き
「雅子にはこの10年、自分を一生懸命、皇室の環境に適応させようと思いつつ努力してきましたが、私が見るところ、そのことで疲れ切ってしまっているように見えます。それまでの雅子のキャリアや、そのことに基づいた雅子の人格を否定するような動きがあったことも事実です。(中略)早く本来の元気な自分自身を取り戻すことができるよう、周囲の理解も得ながら、私としてもでき得る限りの協力とサポートをしていきたいと思っています」
「人格否定」という衝撃的なお言葉に、記者からは重ねて関連質問が投げかけられた。
――殿下、大変、ちょっと失礼な質問になってしまうかもしれませんが、先ほどお答えになった時にですね、妃殿下のキャリアや人格を否定するような動きがあるとおっしゃいましたが、差し支えない範囲でどのようなことを念頭に置かれたお話なのか質問させていただきたいのですが。
「そうですね、細かいことはちょっと控えたいと思うんですけれど、外国訪問もできなかったということなども含めてですね、そのことで雅子もそうですけれど、私もとても悩んだということ、そのことを一言お伝えしようと思います」
異例のご発言に「再説明」の文書公表
異例のご発言について、宮内庁の羽毛田信吾次長(当時)は1週間後の定例会見で、「天皇、皇后両陛下から、側近に対して改めて皇太子殿下から具体的な説明がないと、国民も心配しているだろうとの趣旨の発言があった」と述べた(朝日新聞2004年5月18日)。
宮内庁は、ご結婚から11周年を前にした2004年6月8日、「記者会見での発言に関して、少し説明したいと思います」という書き出しで始まる陛下の再説明の文書を公表している。
この後も、陛下は一貫してご家族の「盾」となってこられたように拝察している。2010年3月から、学習院初等科2年生だった愛子さまが不登校のような状態になられ、雅子さまのお付き添いが続いた時期は、陛下は雅子さまとご一緒に平日であっても愛子さまの学校行事に参加され、時には朝、陛下が学校まで付き添われる日もあった。
最も印象的だったのは2011年9月、愛子さまが初等科4年生での山中湖への校外学習だ。雅子さまが同行されたことで大きな波紋が広がったが、陛下は会見で「昨年の山中湖における校外学習への参加は、愛子が学校生活への安心感を取り戻す上で、大きなステップになったと思います。校外学習を経て、愛子が大きなものを一つ乗り越えたように見受けられました」と述べられている(2012年2月の誕生日会見)。