グスクの魅力と、定説を覆す新発見
グスクの特徴は、美しいカーブを描く城壁です。加工しやすい琉球石灰岩が用いられ、本土の城の石垣とは系譜や築造の時期が異なるため、たなびくカーテンのようななめらかな曲線美が叶います。
本土の城に本格的な高石垣が導入されるのは、16世紀後半のこと。本土の城に石垣の城が誕生する200年も前に、これだけ壮大な城壁が当たり前のように構築されていたとは驚くばかりです。
また、グスクに共通しているのは、絶景の地にあることです。森の中や集落近くの丘上に築かれるケースもありますが、グスクの多くは海岸に突き出した岬の上や険しい断崖の上などに築かれることが多く、沖縄の青い海を見下ろすように絶景を眺められるのが魅力です。
中城城では、平成30年度に定説を覆す発見がありました。修復のため一の郭北西側の城壁を解体したところ、内側から古い時代の城壁が姿を現し、3時期の改変が確認されたのです。もっとも古い石垣(石積み)は、14世紀半ばに積まれたよう。今回の発見によって築城時期が早まり、中城城の歴史が塗り替えられました。14~15世紀の按司の財力や技術力、グスクの在り方を考える上でも貴重な発見といえ、今後のグスク研究にも一石を投じそうです。
撮影=萩原さちこ
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琉球王国のグスクをめぐる旅の模様は、「文藝春秋」6月号の連載「一城一食」に掲載しています。
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