いまから10年前のきょう、2007(平成19)年8月25日、陸上の第11回世界選手権(世界陸上)の大阪大会が開幕した。同大会はこの日早朝スタートの男子マラソンで幕を開け、夕方には大阪市の長居陸上競技場にて、天皇・皇后両陛下ご臨席のもと開会式が行なわれた。

開会式で手を振る天皇、皇后両陛下 ©共同通信社

 開会式では、映画監督の篠田正浩が演出監督を務め、宝塚歌劇団の雪組の5人が歌い、フィールドでは地元関西の高校から選抜したチアリーダー約530人が一糸乱れぬ演技を披露したほか、イギリス出身の歌手サラ・ブライトマンが約200人の子供たちと合唱した。トリは歌舞伎俳優の坂田藤十郎が登場、「世界陸上が大阪で挙行され、大阪の役者としてこのようなうれしいことはない」などと口上を述べると、スタジアムは「大阪締め」の大きな手拍子に包まれた(『読売新聞』2007年8月26日付)。

 開会式を挟んでトラック、フィールド種目の競技も始まる。男子400メートル障害では、前回大会で銅メダルだった為末大が失速して予選落ち、女子1万メートル決勝では福士加代子が好走したものの、レース中に靴が脱げ、10位に終わるという波瀾があった。一方で、男子100メートルで朝原宣治が準決勝に(翌日の決勝では当時アジア新となる38秒03で5位入賞)、ハンマー投げの室伏広治も着実に決勝に進んでいる(決勝では6位入賞)。

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入場行進する日本選手団 ©共同通信社

 前出の朝の男子マラソンでは、ケニアのルーク・キベトが優勝、日本勢も尾方剛の5位を含む3選手が入賞した。ただ、レース中には気温30度超、湿度も80パーセント前後となる酷暑のため、出場選手の3割が途中棄権している。コース上には選手たちに霧のシャワーを降らせるウエットミストが3ヵ所に設けられ、それなりに効果を発揮したとはいえ、この結果。いまから3年後の東京オリンピックも真夏の開催となるだけに、懸念されるところである。