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「日本人にとって、疫神は仇敵ではなかった」
〈その後、日本でも、仏教伝来などもあって、大陸との往来が進むにつれ、たびたび、列島は感染症に襲われた。敏達天皇、用明天皇の兄弟はともに天然痘で崩御した。聖徳太子は用明天皇の子だが父も母も妃も本人も天然痘とみられる疫病で死んでいる。聖徳太子たち「上宮王家」は仏教に熱心で「国際派」。疫病に倒されやすかったのだろう〉
そして、「治療薬も、ワクチンもない時代、人は感染症に無力である。そこで、あれこれ疫病封じの『まじない』を考え出した」として、さまざまな史実を踏まえながら、日本人と「疫病神」との関係について、こう解説する。
〈人間が疫神を歓待する→疫神が人間に感染免除をくれる、という疫病神と人間の互酬=なれ合いの存在も面白い。日本人は疫病神さえ買収してしまうのである。(略)日本人にとって、疫神は仇敵ではなかった〉
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磯田氏が「日本人と疫病との独特な関係」を辿った「感染症の日本史(3)世界一の『衛生観念』の源流」の全文は、「文藝春秋」7月号および「文藝春秋 電子版」に掲載されている。
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「世界一の衛生観念」の源流を辿る
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