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【6月21日は「日食」です】眼科医が教える「絶対にやってはいけない観賞方法」とは

「日食があるたびに、翌日以降の眼科は忙しくなる」

2020/06/20
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 以前小欄で、屋外競技の部活生にはサングラスをかけさせるべき――という記事を書いた。日差しの強い屋外で、連日、しかも長時間スポーツをする中高生の目は、太陽光によるダメージを受け続けており、将来「加齢黄斑変性症」という失明を伴う目の疾患にかかるリスクが高まるのだ。

 彼らは屋外でスポーツをやっているだけで、つねに太陽を見ているわけではない。つまり、彼らの目に入ってくるのは“直射日光”ではなく“反射光”だ。それでも目の病気を引き起こす危険性があるのだから、日食で欠けているとはいえ、太陽を直接見ることがいかに危険なことであるかがわかるだろう(反射光ならサングラスで影響を軽減できるが、直射日光は不可能)。

©iStock.com

 ちなみに、小学生の頃に「黒い下敷き越しに太陽を見れば安全」と教わった記憶がある人もいると思うが、平松医師によるとこれも「NG」とのこと。

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「黒い下敷きが可視光線をある程度カットするのは事実だが、紫外線や赤外線などの不可視光線は透過してしまいます。すでに触れた通り、日光の48%を占める赤外線と紫外線をカットできない下敷きでは、目の被害を防ぐことはできないのです」

準備を整えて、天体ショーを楽しもう

 日食のような自然現象を子どもに体験させて、「どうだ、すごいだろう」なんて、自分の手柄のように自慢しているお父さん。無邪気な子どもは大きな声で「うん!」なんて返事したりして、まるで建売住宅のCMのようで、微笑ましい光景です。

 「父の日」の日食――。せっかく子どもに尊敬してもらえるチャンスなのに、誤った知識で大切なわが子の目にダメージを及ぼしてしまったのでは本末転倒。サングラスや下敷きで済ますのではなく、きちんと日食グラスを用意して、ついでにてるてる坊主もぶら下げて、準備万端整えた上で、天体ショーを楽しみましょう。

【6月21日は「日食」です】眼科医が教える「絶対にやってはいけない観賞方法」とは

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