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堂々たる音楽一家の服部家に生まれる

 克久さんは、父親で戦前・戦後の大ヒットメーカーでもある作曲家・服部良一さんの長男として生まれたサラブレッド。

『遊星王子』大空魔団篇のDVD-BOX。克久さんは22歳で作中の音楽を手がけた。

 服部家自体が音楽一家で、克久さんのご子息の服部隆之さんも作曲家だ。隆之さんは’89年にゲーム『ファイナルファンタジー』の曲のアレンジを父・克久さんと共作で手がけて以来、『スレイヤーズ』劇場版・OVAシリーズ(’95~’99年)や『機動戦艦ナデシコ』(’96年)などの’90~2000年代を代表する人気アニメ・ゲームの音楽を数多く担当。2018年の『ドラえもん のび太の宝島』からは劇場版『ドラえもん』シリーズの作曲も手がけている。実写ドラマでの名曲も多く、『半沢直樹』(’13年)やNHK大河の『真田丸』(’16年)の音楽も隆之さんだ。

 克久さん自身は成蹊中学・高校を経てパリ国立高等音楽院へ留学。’58年に卒業して帰国後、日本の戦後復興の象徴たるテレビ黎明期~黄金期の音楽を一手に担ってきた。お父様の良一さんが邦画音楽の生みの親のひとりなら、克久さんは日本のテレビ(番組)音楽の生みの親のひとりといえよう。先の『遊星王子』は、克久さんが卒業してすぐのお仕事で、克久さんの早熟ぶりと天賦の才能には改めて刮目させられる。

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激レア特撮番組『ジャングルプリンス』とは?

 その克久さんの激レア曲が、『ジャングルプリンス』の主題歌と、その劇伴(音楽)だ。『ジャングルプリンス』は日本テレビ系で1970年7月6日~8月10日に、26回にわたって集中放送(月~金曜日の朝9時~9時半まで週5でオンエア)されて以来ほとんど再放送もされず、今日に至るまでただの一度もDVD化等パッケージ化もされてこなかった、特撮ファンの間でも特Aランクの幻の特撮ドラマだ。

服部克久さん ©文藝春秋

 熱帯の孤島で育ち、謎の石・ファイヤーストーンのパワーでジャングルプリンスとなった日本人青年イサム(矢野圭二)が、大猿ロボラの助けを借りて悪のブラック団と戦うSFターザンもの。怪ロボットや氷河人間アイガーなども登場する。この機会にぜひ! 初ソフト化か配信されることを切に望む次第である。

 子供番組から大人番組まで。マイナーからメジャーまで。ドラマ、クイズ・バラエティ、音楽、ドキュメンタリーとジャンルを問わず、テレビ番組の音楽のなんたるかを身をもって示し、一生を捧げた服部克久さん。

 その手が紡いだ音楽は、歌い、語り継がれ、聴く者の耳と心の中で永遠に奏でられ続けることだろう。かく言う筆者も気がつけば「光速エスパーの歌」を知らず知らずの内に口ずさんでいる自分がそこにいる。