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“あと1本”の西川遥輝選手 ファイターズの新キャプテンについていこう

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/06/19
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「ああいう野球を我々はやっていかなくてはいけない」

 6月10日、明治神宮球場、スワローズとの練習試合。同点になった3回の攻撃、1アウト2、3塁。サードにいた西川選手は中田選手が打ったセカンドフライをとっさの判断と足で犠飛にした。その瞬間の強風を読んで、スワローズ・山田哲人選手は捕球出来たとしても本塁には投げられないだろうと予測してサードベースを蹴ったのだ。中田選手の言葉をそのまま借りるなら「ハルキの神走塁」。

 そして栗山監督はこのシーンをこうコメントした。「いろんな動きを見ながら次の塁を狙っていくのは野球の大原則。ああいう野球を我々はやっていかなくてはいけない。ハルキのメッセージがみんなに伝わってくれたかなと思う」。コメントの途中には「素晴らしい」という表現も織り込まれた。

 足の速さ、打球の速さ、スピードを装備した者にはそれに見合う一瞬の判断力が必要となる。ファイターズのスピードスターは、そのすべてを持ち合わせている。才能に驕らない努力の上で。

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ファイターズのスピードスター・西川遥輝

 そういえば、マルティネス投手が「Haruki’s English is very good!」と言っていた。西川選手は積極的に外国人に話しかけるし、使う英語はとってもわかりやすいそうだ。キャプテンには外国人選手とのコミュニケーションも大切、そこもしっかりクリア。コロナ禍、外国人の不安もケアしながらシーズンを過ごさないといけない、と実際に話しているのを聞いて、気配りの力もさらに感じた。

「つーさん 1000本」まであと1本。

 私の手帳の付箋は今夜あっさりぺろんとはがされる運命だろう。次に近い記録は……250盗塁まであと5個、50三塁打まであと4本、どちらにしても残り1になったらピンクの付箋の出番だ。西川選手にとってはただの通過点、気にして騒ぐのはいつも周りばかりだけれどこれも応援の醍醐味。

 さて。わたしたちはどんな特別な夜を迎えるのだろう。あたりまえだと思っていたことがいとも簡単にあたりまえじゃなくなることを知った。1番・センター・西川遥輝、背番号7。このあたりまえがどんなに貴重なものなのかもよくわかった。

 誰も経験したことのないシーズン、チームと共に新キャプテンにファンもついていこう。試合は120しかないから、結構なスピードで駆け抜けることになりそうだ。振り落とされないようにしっかりとつかまって進もう。

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