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江戸時代から残る国宝天守 犬山城の絶景“写真スポット”を知っていますか?

「白帝城」と謳われる名城の“知られざる顔”

2020/07/04
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天守最上階にある特別空間からの眺望

 天守最上階からの眺望のよさも、犬山城の魅力です。最大の特徴は、壁面の外側をめぐる、バルコニーのような「廻縁(まわりえん)」を1周できること。廻縁は天守に必ずついているイメージを持たれますが、実際にはそれほど存在しません。木造で腐朽しやすいため、室内に取り込まれたり、高欄(手すりの部分)だけが飾りとしてつけられることが多いのです。

天守最上階の廻縁。

 犬山城の天守は、廻縁を1周できる貴重な例。全国に現存する12棟の天守のうち、廻縁を1周できるのは犬山城と高知城だけです。廻縁からは木曽川を見下ろせ、濃尾平野の見事な展望、遠くに岐阜城や名古屋市街地までも一望できます。濃尾国境を制した気分にもなれるでしょう。通り抜ける風が心地よく、時間を忘れます。

木曽川の鵜飼で、犬山の歴史を丸ごと堪能

 ところで、木曽川を遊覧する船上から天守を見上げられるのをご存知でしょうか。「木曽川うかい」の観覧船に乗れば、犬山の夏の風物詩である木曽川の鵜飼と、木曽川の遊覧が楽しめます。

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廻縁からの眺望。岐阜城も見える。
「木曽川うかい(※要予約)」の観覧船から見上げる犬山城天守。

 船上から見上げる犬山城の天守は、対岸から望むのとは異なり、迫力満点。断崖が迫り来るような感覚があり、天守もより勇壮に見えます。ほんの少しの角度の違いですが、だいぶ印象が異なります。まさに“知られざる顔”に出合えた気分です。