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2020/07/09

新キャプテン・佐野恵太への思い

 筒香がいなくなって、今季から佐野恵太選手が新キャプテンと同時に4番という役割も担っています。正直、誰も筒香の後にキャプテンをやりたいとは思わないでしょう。なぜなら筒香は「成績が伴っているキャプテン」だったから。この世界は成績ってすごく大きいので。筒香が言えば、みんながその方向を向いていた。

佐野恵太 ©文藝春秋

 佐野自身は、いろんなものを飛び越えてのキャプテン指名だったと思います。左の代打要員として成績は残しましたけど、レギュラーではない。その辺の戸惑いややりづらさは絶対にあると思う。でも今は選手会長の(石田)健大がサポートしてくれる。かつての筒香一人に引っ張られるチームではありません。今は佐野をサポートしながら、みんなでいいチームにしていこう、新しいチームを作り上げようという感じですね。僕からは「何か困ったことがあったら一緒に考えよう」くらいしか言ってません。それは筒香の時も一緒。「ノブさん、こういうこと考えてるんですけどどうですかね?」と言われたら動きますけど、こちらから何かキャプテンに対して動くことはない。あくまでもベイスターズは選手で作り上げるチームだと思っているので。

 コロナ感染下で様々な規制がかかる中で、どうしても選手に強くストレスがかかってくる今、佐野キャプテンの呼びかけで『心をひとつに』というTシャツができあがりました。選手たちがホワイトボードを囲んで、自発的に言葉を募って、そんな景色、昔だったら考えられないですよ。佐野って前から僕のブログに頻繁に登場するくらい、完全ないじられキャラ、いいキャラなんです。サノスっていうあだ名もたぶん僕のブログ発祥だと思います。プーさん(宮﨑敏郎)は「(握力だけで)リンゴ潰せる」っていうので、「ほぼクマじゃん」からの「プーさん」でしたが、サノスは打順をテキトーに書いてて、ロペスの次だったから「サノス」。ロペス、ソトス、サノス、みたいな。

『心をひとつに』Tシャツ ©文藝春秋

現役引退を決めてからマネージャーになるまで

 僕の現役生活は8年、引退を決めた時、未練は全くありませんでした。僕は糸島高校で元ヤクルトの西﨑(聡)とバッテリーを組んでいたんですけど、彼は130キロちょっとのスリークォーターのピッチャーでした。プロにきて、140キロのキレのあるボールを初めて見て、捕れなかったんです。全然いい音が鳴らせなかった。正直3年目くらいで辞めたいなと思ってました。プロのレベルの差を思い知って、父親の跡をついで漁師になろうと。そんな時に今ソフトバンクでスカウトをしてる岩井(隆之)さんに「外野手になってみないか」と提案を受け、多少足も速かったので、外野手に転向して、5年。

 ただやっぱり、限界は見えていました。時々冗談で「おまえ、マネージャー向いてるんじゃない?」「ちょっと、やめてくださいよ!」みたいな会話が、少しずつ心に引っかかるようにもなっていた。俺はこれからどう生きるべきなんだろうと。2008年、石井琢朗さんが抜けることが決まり、今度は大矢(明彦)監督から「ショートをやってみないか」という話をいただきました。僕は、何となくその先の未来を考えながらも、2008年をショートとして過ごしました。そこへキャンプで思い知った、ショートの大変さ。筋肉痛が1ヶ月治らないことなんて、今までなかった。本当に気持ちの決着がついたように感じました。

 2008年が終わり、球団からのオファーを受けて僕はマネージャーになりました。

「プレッシャーのない中堅が一番怖い」ってよく言われます。思えば僕の現役最終年もそうだったかもしれない。自分の限界がわかったから、ただただ野球を楽しめたんじゃないかと。だからこそキャリアハイの成績を残せたんじゃないかと今はそう思います。後悔も何もなくて、結婚して子供もいたし、今まで野球しかしてこなくて世間のことは何も知らないし、だから喜んでマネージャー職に就きました。ここまでくるのに何十年とかかっていますが、選手に色々教わりながら、やってきた結果が今にあるのかなぁと。2000年ドラフトの仲間って、結構まだ球界に残っていて、DeNA広報の渡邊(雅弘)とか、スカウトの吉見(祐治)さん、稲嶺(茂夫)さんとか、内川(聖一)もソフトバンクで頑張ってる。励みになりますよね。

 のぶマネブログは、選手に一切許可をとっていないので、よく「母親から(のぶマネブログで見たと)連絡がきました。あの写真載せたんですね!」と驚かれ(怒られ)ます。どうしても野手に偏りがちなんですけど、時々寂しがりやのピッチャーたちが、ほぼほぼヤスアキ(山﨑康晃)と齋藤(俊介)ですが、わざわざやって来ます。喜んでいただけるファンの方がいる限り、続けたいです。

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