小池百合子氏が東京都知事になってから1年。今月の新聞は小池都政を振り返る記事が多かった。

「顧問」に注目する朝日と読売

「朝日新聞」の検証企画「小池流」の第一弾の後編は、『顧問重用「密室政治」と批判も』というタイトル(8月2日)。

 小池氏は自ら選んだブレーン14人を「都顧問」としているが、都幹部らが知らないうちに決まる重要政策もあると報じる。ここでは「東京五輪・パラリンピックの仮設施設整備費」が例に挙げられていた。

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《都によると、小池氏と顧問の日常的な協議内容は記録されない。ある都幹部は指摘する。「知事と顧問の議論は後で検証できない。都議選で知事は自民党都連について『(物事の決め方が)ブラックボックス』と批判したが、自分も同じことをやっている」》

ブレーンは14人 ©杉山秀樹/文藝春秋

 次に、同じ日の「読売新聞」。

 読売も「小池都政 顧問が動かす」という大きな見出しで「きょう就任1年」と伝えていた。

「朝日」も「読売」も小池都政を振り返る際に重要なポイントは「顧問政治」だと指摘しているのだ。

毎日のスクープと、小池都知事の謎発言

 するとこの3日後、「毎日新聞」が見逃せない記事を出してきた。

「豊洲最終判断 記録なし 小池知事 ブレーンと協議」(8月5日)

 知事が公表した「豊洲移転・築地再開発」の方針について、財源や運営費などを検討した記録が残っていないことが毎日新聞の情報公開請求で判明したのだ。

《数千億円規模の巨大プロジェクトの最終判断が「密室」で下され、その資料も存在していないという。知事が改革の「一丁目一番地」とする情報公開も軽視された形だ。》

パフォーマンスには事欠かない都知事 ©杉山拓也/文藝春秋

 このスクープに対しての小池知事の答えがさらに話題になった。

「小池知事の「人工知能、つまり私」発言にネット困惑」(産経ニュース 8月15日)

《小池知事は「情報というか、文書が不存在であると、それはAIだからです」と発言した後、少し間を開けニコリと笑い、「外部の顧問や専門家会議で考え方を聞いてきた。試算は公表されている」などと説明。さらに「最後の決めはどうかというと、人工知能です。人工知能というのは、つまり政策決定者である私が決めたということ」などと話した。》

人工知能、つまり私 ©細田忠/文藝春秋

 この発言に対し「意味不明だ」とネットユーザーを困惑させていると伝える「産経」。

 同じ記事の中では「都民ファーストの会」所属の都議会議員・おときた駿氏のブログでの推測も紹介されている。

《「知事は毎日新聞主催のAIなどをテーマとするフォーラムにゲスト登壇していたため、リップサービスの意味も込めてAIと切り返したのでは」》

 つまり、やたらカタカナを使用する小池氏がその勢いで最新用語「AI」にも手を伸ばしたらスベッたということか。