「文藝春秋」7月号及び「文藝春秋digital」で「秋までに1日10万件、冬までに1日20万件」の検査を実施できるようにすべきだと記事に書きました(「『検査・追跡・待機』こそ最大の景気対策だ」)。
この記事が出た後、6月18日には、広島県知事の湯﨑英彦さんたちと一緒に「積極的感染防止戦略による経済社会活動の正常化に向けた緊急提言」を日本記者クラブで公表し、そこでは「9月末までに1日10万件、11月末までに1日20万件」の検査能力の構築を訴えました。
このまま第二波が来たら、医療現場は再び大混乱に
この提言には、オールジャパンといえる広い分野から114名もの賛同者が集まりました(日本記者クラブの会見リポートのページから賛同者リストをご覧ください)。賛同者は、14の県知事をはじめ、ノーベル医学・生理学賞受賞者の山中伸弥・京大教授、Jリーグの村井満チェアマン、佐々木毅・元東大総長、福井俊彦・元日本銀行総裁、AI研究の松尾豊・東大教授、などなど、学界、経済界、労働界、スポーツ界、芸術界など各界を代表する有識者の皆さんです。
なかでも注目すべきは、東京都病院協会の常任理事を務める3人の医師や病院経営者の方も賛同者に加わっていただいたことです。これは、私たちの提言が医療現場の意見を一定程度、反映していることを示しています。
今回、提言の取りまとめに当たって、医療関係者からお話を伺ったのですが、医療現場の実感は、感染症専門家とかなりギャップがあるようでした。医療現場の声が政策に届くような仕組みを、早急に作る必要があります。民間病院の医師が「検査すべき」と判断したときには即座に検査できるようにすることはその基本です。それができないと、次のコロナ第二波が来たら、医療現場が再び大混乱に陥ることになります。
「1日20万件」は無茶な数字ではない
「文藝春秋」7月号の記事でも、6月18日の緊急提言でも、期限と数値目標を定めて、検査体制と医療体制を計画的に増強していくことが重要だ、と論じています。なぜ、数値目標は必要なのでしょうか。
まず、1日20万件の能力を11月末までに実現することは、無茶な目標とは思えません。アメリカは1日40万件、ドイツは1日15万件の能力を5月末時点で実現しています。韓国も含め主要国は、人口比で日本の10倍以上の検査能力を実現していることは、よく知られています。
さらに、これから予想される事柄として以下の3つがあります。これらについて、きちんと検査できないと大変なことになるでしょう。