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香港、コロナで剥き出しになった「中国の本性」 日本人はこの傍若無人な大国とどう向き合うべきか

アフター・コロナの中国論 #2

2020/07/04
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日本はもう中立ではいられない

 このように「本性」を露わにした中国に対して、我々はどのように対応していけば良いのか。

 たとえば、人類共通の問題ですから、いま直面している新型コロナウイルス対策では中国とも協力していくしかありません。

 しかし、事が自由や民主主義、人権といった普遍的価値にかかわる問題のときには、断固とした立場を貫かねばなりません。隣国だからこそ、中国の特殊な価値観を尊重した友好関係ではなく、軋轢を恐れずに日本の立場を主張し、つねに対等な関係を確保しておかなければならない。相容れないことに対しては、はっきりと自分の立場を貫いて、時には「突き放す」姿勢も必要なのです。

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 たとえば、香港問題でも中国のやり方に対しては、はっきりと声を挙げなくてはなりません。日米欧のG7外相は6月17日、香港問題について「重大な懸念」を示す共同声明を出しました。安倍首相が「G7で声明を出していく」と6月10日に発言した直後から、中国外務省の華春瑩報道局長が「重大な懸念を表明する」と口にするなど中国政府は近年になく、非常に強い調子で反発していました。

 それでも、国家のあり方、人々の生き方に関わるこの問題を看過してしまえば、日本も中国と一緒に国際社会から「信用ならない国だ」と見られてしまいます。

 とくに重要なことは、この2020年についに「一線」を越えつつある米中の対立においては、はっきりと日本は「アメリカの同盟国」としての立場を明示しつつ、可能なら米中両国の意思疎通のパイプ役としての役割を果たすべきでしょう。

アメリカのトランプ大統領と安倍晋三首相 ©︎getty

 この間、まず目を配るべきは、11月のアメリカ大統領選挙がもたらす米中関係への影響です。選挙のアピールのためにも弱みを見せたくないトランプ大統領が、これまで以上に強硬な対中政策に打って出る可能性が懸念されます。

 すでに尖閣諸島や台湾海峡で米中あるいは日中間の軍事的な緊迫度が増している中、ひとたび中国が、コロナの苦境でアメリカの対応力が落ちていると見なせば、より大胆な行動に出てくる可能性があります。そのときに、日本は、情勢が一気に極端な流れにならないように慎重に振る舞わなければなりません。