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「2度目のクラスターが発生したホストクラブも」

「やらないと生活できないので。大手のホストクラブでも最近クラスターが出て、20人くらいが感染していましたが、実はクラスター発生は2度目で、みんなの対応は慣れたものだったようです。若いからほとんどが無症状で重症になるホストの話は聞きません。保健所にも確認しましたが、陰性の人間だけだったら営業やってもいいと話していました。だから本当は安全のために、どんどん検査をしていきたい。ですが、何度も保健所に電話をしているがなかなか検査に来てくれない。そっちのほうが問題だと思いませんか? 東京都が意図的に感染者の数をコントロールしていると疑っています」

 現役ホストでもあるX氏は、あくまで正当性を主張する。検査を管轄する東京・新宿区保健所にX氏の言い分を伝えると、担当職員は遣る方ない様子でこう答えた。

保健所の入る新宿区の施設 ©文藝春秋

保健所の担当者の回答は……

「個別の案件についての回答は差し控えますが、一般論として、飲食店などで濃厚接触者が出た場合、こちらとしては2週間の自粛要請をしています。ですが、要請なので効力はなく、『店を開けてよいか』と聞かれると、『閉めなければ駄目だ』とは言えないのが現実です。(X氏は)それを違った解釈をされているのではないでしょうか……。

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 我々がホスト店などに感染者がいるという情報を掴んだ場合は、クラスター検査に積極的に応じるようにしています。ただ感染された方に『新型コロナウイルス感染症発生届』を提出していただく際、職業欄にホスト店の名前などではなく、『フリーター』や『自営業』と記入されると、(ホスト店内の感染を)我々は把握できません。本人以外の方からお電話で『あの店を検査しろ』と言われても、検査に入るのは現状ではなかなか難しい。店舗名を記入することで店に迷惑がかかると勘違いされている方も多いのだと思いますが、正確に書類を書いて頂きたいです」

 朝日が差し始めた7月3日早朝の新宿・歌舞伎町では、飲み明かしたホストたちがマスクを外し、千鳥足で店外に現れた。仲間や客の女性にもたれ掛かり、道端に嘔吐するホストも。女性客とホテル街へ向かうホストも数多く見かけた。

7月3日(金)の早朝、新宿・歌舞伎町で女性客2人と戯れる男性 ©文藝春秋

 東京都の感染者3ケタを受けて、メディアの中には「第1波のときより若者の感染者が多く、軽症や無症状が多いから大丈夫だろう」といった言説も見かけるが、その無症状感染者からコロナが拡大していく危険性は大いにあると、歌舞伎町の光景は物語っていた。