東京では歓楽街を中心に感染者数が増えており、100人を超える日が続いている。6月19日の休業要請解除からちょうど2週間であり、現在の感染者数はその頃の状況が反映されている。自粛の解除に伴うある程度の再燃は予想されたことであり、今後とも報告感染者数は増えることが予想されるが、今のところ本格的な第2波の到来とは言えないであろう。
しかし、予断は許さない。過度な悲観論で国民経済を混乱させることは避けるべきであるが、油断して少しでも対応が遅れれば、新型コロナの被害が大きくなることは欧米の例を見れば明らかだ。7月4日には小池百合子都知事は都外への移動自粛を要請し、緊張感が高まってきている。
緊急事態宣言等で抑えた第1波の再燃にどう対応していくのかという点は、日本だけでなく、世界の国々が共通して頭を悩ます課題となっている。
世界的に感染は勢いを増している
第1波を抑え、ロックダウンや緊急事態宣言を解除したアジアや欧州の各国では、経済活動の再開とともに、感染の再燃を繰り返している。ある程度の再燃は当然予想されたことであるものの、今秋以降に予想される世界的な第2波に向けて、「検査・追跡・隔離」と医療体制の準備を進めようとしていた矢先の度重なる再燃は、各国においても大きな不安を投げかけている。
第1波の初期対応に失敗した米国では、早期に解除をした州で感染の再拡大が起こっており一部の州ではバーやレストランの再開を停止した。ワシントン大学保健指標評価研究所のシミュレーションでは、今のままの状況が続けば、早ければ米国では9月には第1波を超える第2波が来ることが予測されている。
同様に初期対応に失敗した英国でも、7月4日にバーやレストランが再開されたが、感染者が急増しているレスター市では、再びロックダウンが実施されている。初期対応の優等生であるドイツでも、食肉加工工場での集団感染が起こった西部の街では再度のロックダウンが行われている。さらに、スペインやオーストラリアでも地域封鎖が実施された。
さらに、欧米諸国では、経済を止めないために、夏休みシーズンを前に国境を再開しようとしているが、南半球の国々が第1波の荒波を受け、北半球の国々では第1波からの再燃を繰り返している状況で、国境再開がさらなる感染拡大を引き起こすことが懸念されている。
今秋以降に予想されている第2波を前に、世界中が全く予断を許さない状況が続いている。WHOのテドロス事務局長は「世界的な感染は加速しており、最悪の事態がこれから起きる可能性がある」と警告している。