「もし前職にいれば、改善すべきと報告する」
さらに、出川は「安全にかかわる車のシステムに不具合があるかどうかの問題軸でとらえると」と断ったうえで、事故車が「ドアが開いた状態で発進したのは不具合といえる」と証言。外資系メーカーなど4社の社名をあげ、「シフトポジションがDレンジで停止しているとき、ドアを開けると自動的にシフトがパーキングに切り替わる仕組みを(それらの社は)2014年には採用した。事故は2018年2月に起きた。(トヨタは)著しく遅れている。もし前職にいれば、保安基準対象ではないのでリコールではないが、改善すべきだと国交省に報告する」と述べた。
第3回公判に検察側証人として出廷したトヨタ自動車お客様関連部主査の吉田一美は、レクサスLS500hがその機能を採用していないことについて「車両を後退するときにドアを開けて直接目視をされるという使い方をされることもあるので」と証言している。
警察の調査は、事故車のブレーキシステムの「設計ミス」などの観点での調査が不十分で、事故原因は特定されていない、と批判。EDRで衝突前のアクセル開度が100%だった場合、原因はアクセルの踏み込みだと決めつけてほかの調査を怠る傾向があるとし、EDRに頼ることが警察の事故捜査を不十分にしている、とも指摘した。
検察は「専門家の反論意見書を裁判所に提出する」と表明
検察側は、出川の証言の信用性や信ぴょう性について揺さぶりをかけるべく、検証官時代の調査内容について証言を求めたが、出川は「守秘義務」を理由に開示を拒んだ。さらにドライブレコーダーの加速度データについての出川の読み方に問題があるのではないか、と揺さぶりをかけたが、出川は動じなかった。
パーキングブレーキがかかったままの暴走だったことを示すブレーキシューの焼け焦げについて検事が見解をただすと、「現因は、調査していないのでわからないが、クリープで発進したあと、再度、パーキングがかかった。設計ミス、プログラムミスの可能性がある」と答えた。
検察側は攻めあぐね、結局、「もし、石川がアクセルペダルを踏んだとしても、同じようなことは起きる」という出川の証言を引き出すのにとどまった。
検察側は8月末までに、ドライブレコーダーやEDRのデータをもとにした警視庁の鑑定書を補強する専門家の意見書を裁判所に提出すると表明した。