友だちが妊娠した時にアドバイスしたいのは友だち自身ではなく、むしろその隣にいる「友だちの夫」――。
「どうか、これだけは覚えておいてほしい」という先輩ママの血が通った言葉たちを、“これからパパになる夫たち”に届けたいと『VERY』編集部が一冊にまとめた「出産前の友だちよりも心配な友だちの夫に贈る100の言葉」。
そのなかから「育休を取るって、いいことずくめ」というファザーリング・ジャパン代表理事、安藤哲也さんの言葉を紹介します。
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2010年の育児・介護休業法改正から10年。
男性育休100%を目指す企業が増加するなど状況はだいぶ変化してきました。
とはいえ、2018年の男性の育休取得率6.2%と、国が掲げる2020年で13%、2025年には30%という目標にはまだまだ及ばず。
「制度が整ってきた今、これからは制度より職場のムードと個人の意識を変えていくことが大切」と語る、安藤さんに、そもそも、なんのために育休を取るのか、育休のメリットを教えてもらいました。
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育休取得は自分の幸せにつながる――今こそ「OSを入れ替えよう」
正直にお話をすると、バリバリ昭和世代の僕は子どもが生まれても自分は育児なんてしなくていいと思っていました。実際に男は働いて稼いでいれば育児も家事もしなくても許される世代でした(つまり、この本を読む現役子育て世代の上司の多くはそんなふうに生きてきたわけです)。35歳で子どもが生まれた時も、当時はまだ珍しい共働きだったので妻と協力して育児や家事をする必要があるのに、「これは俺の仕事じゃない」という思いがあったので夫婦ゲンカは絶えませんでした。とくに40歳でIT企業に転職した頃はひどかった。妻はワンオペに陥り、何度か家出をされました。変わったきっかけは「このまま仕事だけしていたら家族が壊れる」という危機感から。当時4歳だった娘にチック症状が出て、パチパチとまばたきをする娘を見た時に「父親として何をやっていたんだろう」と後悔しました。そこで、まず妻と娘に謝り、仕事を調整しながら育児や家事をやるようになりました。
今でも、子育てが始まると妻と不和に陥る男性は少なくありません。でも、それはパパの能力や向き不向きの問題ではなく、単にOSの問題。『育児は母親の仕事。外で稼いで家族を養うのが、父親の役割だ』といった古い父親像をアンインストールして、自分の中のOSを入れ替えればいいだけ。家庭をほったらかしにして仕事一筋で生きても、今の時代に家族は幸せになれないし、自分の人生だって楽しめないと思いますよ。