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「お前が産むの?」 わずか6%……日本のパパの育休取得率はどうすれば上がるのか?

『出産前の友だちよりも心配な友だちの夫に贈る100の言葉』#2

2020/07/09
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 今、僕は3人の子どもに恵まれ現役でパパを楽しんでいます。これは、あの時OSを入れ替えられた自分へのご褒美だと思っています(笑)。仕事も子育ても自分の人生・自分の時間にして、父親がまず子どものいる暮らしを目いっぱい楽しむ。その姿を見て育った子どもはきっと仕事も子育ても楽しむ親になる。パパが育休を取得することが家族の幸せの第一歩だと思います。

男性の育休取得はボウリングの1番ピン

 勤勉を良しとする日本では、プライベートよりも仕事を優先するという空気が多くの職場にあります。80%の人が育休を取得したいと思っているのに、現状取得しているのはたったの6%。せっかく制度があっても実際には取りにくいのが現状です。なかには、育休を取りたいと上司に言ったら、「お前が産むの?」と言われてしまったなんて話も。そして、子育てを理由に仕事を抜けることを後ろめたいと思ってしまう男性自身の意識も大きいのではないでしょうか。

 男性の育休取得は単なる個人のわがままや贅沢ではありません。男性が育児休暇を取得する=男性の家庭進出は、働き方改革、ジェンダー平等、少子化対策、児童虐待・DVなど、社会が解決しなくてはいけない問題を改善する「ボウリングの1番ピン」です。

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男性の育休取得。どのくらい取るのが望ましい?

 多くの企業で配偶者出産休暇(有給)が推奨されるようになり、1週間程度の「パパ産休」は進んできました。これは育休の最初の5日間を有給にすることで、土日を付ければ1週間、収入を減らさずに休めるという仕組み。でも、産後の家族ケアを考えれば最低でも欧州並みに2週間、できれば1〜3カ月ほどパパが育児に関わる時間を増やしたいものです。1週間の産休の場合、本人が前後の残業で調整してしまいますが、長期間の育休となると男性が休むマイナスをどう補塡するか、より真剣に生産性を上げる工夫をするようになり職場でも働き方改革が進むはずです。

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 男性が長期間の育休を取得することは会社の経営にとってもメリットがあることが、すでに多くの企業で実証されています。私がアドバイスした積水ハウスグループでは「男性社員の育児休業1カ月以上の取得」を義務付けたことで、取得した男性社員の職場では働きやすさが波及し働き方改革が進むとともに、男性も育児・家事をすることで生活者目線を持つことができて業務でプラス効果も見られました。育児を通じて段取り力が上がったり、視野が広がったりするのは仕事力の向上につながる。さらに、より働きやすい職場の実現が望めます。実際に、育休を取得した男性からは子どもの病気などで急に休んだり早退したりする女性社員にも共感できるようになったという声も多く、子育てや介護に携わる人も働きやすい多様性の高い職場は離職率も下がり、企業イメージも向上するでしょう。

 まだ、男性の育休取得に理解がない管理職がいたら、推進企業の成功事例について話をしてみるのも手ですね。

育休取得のファーストペンギンになろう

 多くの男性が長期育休取得に二の足を踏むのは「職場にまだ前例がない」から。でも、働き方改革が進む今だからこそ先駆者になろう、とマインドを変えてみませんか。あなたが一番手、つまりファーストペンギンとして育休を取得し前例を作ることで、後に続く後輩が育休を取りやすくなります。周囲や上司に忖度することなく自分の家族のことは自分で決める。空気を読まずに、空気を変える人こそ次世代に求められる人材ではないでしょうか。