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育児休業中でも所得の7割程度は補償される

「育児休業を取得すると収入がなくなってしまう」と思っているかもしれません。給与が出ないことは男性が育児休業を取得する障壁になっている、と言われていますが、実際は無収入になるわけではありません。

 育児休業は子どもの1歳の誕生日の前日まで、父母ともに取ることができます(誕生日時点で認可保育園に入れなかった場合などは、1歳6カ月まで育児休業を延長することも可能)。育児休業期間中、通常は給与が出ませんが、給与保証として雇用保険から育児休業給付金が支給されます。共働きであれば、賃金の一定割合(67%または50%)分の育児休業給付金が二人とも国から支給されます。さらに、健康保険料や厚生年金保険料は支払いが免除されるので、普段の収入の6〜7割程度は保てるのです。

育休が2度使える!「パパ・ママ育休プラス」を利用しよう

 妻の産後休暇中に、夫が育児休業を取った場合には、特別にもう一回育児休業を取れることを知っていますか? さらに、パパもママも育児休業を取得した場合は「パパ・ママ育休プラス」と言って、通常は1歳の前日までの育児休業が、子どもが1歳2カ月になるまでは延長されるのです。

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 この制度を利用すると、産後8週間以内に一度育休を取得し産後のママをサポート、次にママが職場復帰する際にもう一度パパが育休を取ってママが生活のペースに慣れ、慣らし保育期間にサポートするということも可能に。

パパが育休を1カ月取れれば「マイタウン出産」がメリットに。

 今後、状況によっては里帰り出産をせずに「マイタウン出産」をする人も多くなると思います。里帰り出産は実母もしくは義母の手助けもあり、ママは助かることも多いですが、里帰りから戻った後にお世話に慣れないパパの手際の悪さにイライラしてしまったり、子どもの世話をする役割がママに固定しやすくなってしまうこともしばしば。夫婦のパートナーシップを強化して父親の家事・育児スキルを向上させるにはパパが育休を取ってマイタウン出産し、夫婦で一緒に子育てをスタートすることをお勧めします。欧米では産後1カ月は祖父母の手を借りずに夫婦で育児と向き合うことで親として成長する、という考えが一般的。この期間に父親が育児に携わることで父親としての自覚と子どもへの愛着形成もされ、その後の子育てもコミットしやすくなると思います。

(【前回】「どんなパパも“ポンコツ化”する」なぜ日本の子育て世代はこんなにも大変なのか? を読む)

安藤哲也 ファザーリング・ジャパン代表理事
1962年生まれ。2006年NPO法人ファザーリング・ジャパンを設立。
「笑っている父親を増やしたい」という思いから、講演や管理職養成事業「イクボス」の企業研修など積極的に活動。厚生労働省「イクメンプロジェクト推進チーム」顧問、「にっぽん子ども・子育て応援団」共同代表も務める。1女2男の父親。