1つは新型コロナウイルスの対応を巡って批判が強まり、支持率が低迷したため、方針転換をせざるを得なくなった。ABCテレビの世論調査ではトランプ大統領の新型コロナウイルス対策を「支持しない」と答えた人が67%に上り、3カ月間で最高値となった。
さらに、2つ目の理由は感染リスクを減らすにはマスクの着用が不可欠だとの認識がアメリカ人に浸透してきたことが挙げられる。このため、大統領としてもマスク着用に理解を示す必要が出てきた。アメリカでは経済再開を推し進めたテキサス州やネバダ州で感染者が急増。各地で感染拡大が相次ぎ、マスク着用を義務化する州が増えている。モンタナ州とサウスダコタ州、アイオワ州、ウィスコンシン州の4州以外の州は、州全土かもしくは、一部の地域でマスクの着用を義務付けている。
また、7月15日からは全米のスターバックスでお客と店員、両方にマスク着用を義務化する方針が発表された。マスクを着用する習慣のなかったアメリカ人も、マスク着用が基本になりつつありる。
こうした中、6月末には米金融大手のゴールドマンサックスが全米でマスクの着用を義務付けた場合、GDP=国内総生産の落ち込みを5%軽減できるとの試算を示すなど、マスク着用による経済効果が注目されている。
マスク嫌いのトランプ大統領だが、低迷する「支持率」と「経済」を回復させるためには「マスク」は軽視できない問題となっている。
【執筆:FNNワシントン支局長 ダッチャー・藤田水美】