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「“売春婦”などの記述は1カ所もない」……「反日種族主義」著者が逆告訴 “全面対決”の裏で何が起きているのか?

2020/07/14
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「『売春婦』などの記述は1カ所もない」と逆告訴

 これに対し李栄薫氏らは7日に記者会見をして、逆告訴を宣言していた。この会見で李氏らは「われわれの『反日種族主義』の記述の中に元慰安婦や元徴用工の名誉を毀損する記述はない。指摘されたような『売春婦』などの記述は1カ所もない。また我々はそのような発言をしたこともない」と全面否定し、「むしろ、彼らが李栄薫はじめわれわれ筆者の名誉を深刻に毀損しており、これに対する法的責任を問いたい」と逆告訴を宣言した「声明書」を発表、13日、ソウル南部地検に提訴した。

 関係者によると、元慰安婦や遺族らが起こした告訴を担当するソウル中央地検は文政権に極めて近いため、同一案件ながら別のソウル南部地検に訴えたのだという。

文在寅大統領 ©AFLO

 遺族らによる訴訟が起こされた背景には、文政権の反日政策の影響が大きいとみられている。徴用工賠償訴訟で2018年10月、大法院(韓国の最高裁)による日本企業への1人1億ウォン(当時のレートで約1000万円)の賠償命令が出たが、以降韓国では元徴用工による裁判が増えた。関係者によると「弁護士が元徴用工を探し出し裁判をけしかける事例もある」といい、反日ビジネスの様相を呈しているのだという。今後、実際に日本企業の資産が現金化されれば、日本統治時代の被害に対する損害賠償裁判が増加する恐れも指摘されている。

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 また、元慰安婦や元徴用工の遺族による訴訟を全面支援している与党幹部の宋議員と、『反日種族主義』の李栄薫・元教授の間には因縁があった。2004年に宋議員は李氏と慰安婦をめぐるテレビ討論で対決、このときは宋議員が李氏に謝罪を認めさせたのだ。宋議員は現在、与党で反日の急先鋒になっており、夏に向け燃え上がる韓国の反日機運に与党幹部として存在感を示したいという思惑も透けてみえる。

©iStock.com

 李氏らは『反日種族主義』に続く第2弾『反日種族主義との闘争』を5月に出版したばかりだ。前著に対する批判に答える形で、慰安婦・徴用工だけでなく、日本による土地収奪論、韓国近代化の実態などを取り上げ、韓国の反日歴史観の再考を強く促した。