11月22日に韓国政府が下したGSOMIA継続(韓国政府の言い方では、GSOMIA終了通告効力停止、もしくはGSOMIA終了猶予)の決断。日韓政府はお互いの妥協点を探りながら、関係融和への模索が始まることになりそうだ。
韓国国内でも、“反日”一辺倒の時代は終わりつつある。その一例ともいえるのが『反日種族主義』の韓国内でのヒットであろう。『反日種族主義』は“タマネギ男”こと曺国・前法務部長官が“吐き気がする本”と言及したことで注目を浴び11万部を突破するというベストセラーになった。韓国内でも少なくない人が、反日一辺倒の政治家やメディアの議論に疑問を持っていることの証左だったともいえる。
11月に日本国内でも発売された『反日種族主義』(文藝春秋)翻訳版は、20万部を超えるという韓国版以上の大ヒットとなっている。本稿では同書の日本語版ヒットについての、韓国内の反応についてレポートをしていきたい。
韓国メディアのアレルギー反応
日本翻訳版のヒットについて、まずアレルギー反応を示したのが韓国メディアだった。政権寄り左派新聞であるハンギョレ新聞は〈日本人が誤った歴史観を深め、歪曲された歴史観が日本社会に拡散する〉〈恥ずべき日本語版出版〉と叩いた。
「『反日種族主義』日本での販売1位の熱風、憂慮される」と書いたのは韓国のネットメディア「オーマイニュース」(11月16日配信)である。同サイトは日本が「右傾化する危機」に直面しているとしつつ、次のように批判を続けた。
〈(『反日種族主義』は)「韓国人は嘘つき」という荒唐無稽な論理を日本国民に改めて印象付ける内容だ(中略)果たして『反日種族主義』と接する日本の学界とマスコミが歴史に謙虚な判断を下すことができるのか。その点についても懐疑的な予測をするしかない。なぜなら過去、朴裕河教授の『帝国の慰安婦』に“盲目的に”熱狂していた日本の姿を、既に目撃したことがあるからだ〉
ネット新聞である<ニュースフリーゾーン>(11月7日付記事)も同じような論調で批判を繰り広げた。
〈7月、日本の経済侵略と同時に、まるで約束したように『反日種族主義』が出版され、日帝の侵略の歴史歪曲はもちろん、帝国主義的侵略に対抗した大韓民国の抵抗的民族主義まで卑下する土着倭寇たちのずるくて悪辣な騒ぎがあった〉