7月10日、ソウル市長の朴元淳氏の失踪、そして死亡のニュースが伝えられ、韓国社会に衝撃が走った。さらに、その死がセクハラを告発された直後の「自殺」であったことが明らかになると、衝撃は動揺へと変わった。
3選まで認められるソウル市長の3期目で、次期大統領候補として名前の挙がっていた朴市長。彼の身に一体何が起こったのか。
登山用の服で家を出て…
失踪当日の9日、朴市長は総理との面談、国会議員との食事等の日程が入っていたが、体調が悪いという理由で急遽全ての日程をキャンセルした。警察発表による彼の当日の動きを時系列に沿ってまとめると次のようになる。
午前10時44分 市長、登山用の服装で家を出る(彼は普段から登山を趣味としている)
午前10時53分 北岳山にある臥龍公園に朴市長が到着(保安カメラにより確認)
午後0時頃 娘に電話し、遺言のような言葉を残す
午後5時17分頃 携帯電話の電源が切られており、心配した娘が警察に失踪を申告
午後5時40分~9時30分 警察が1次捜索を開始(発見されず)
午後10時30分~ 2次捜索を開始
午前0時頃 北岳山にて遺体発見
失踪前日の7月8日にソウル市長の秘書であった女性が警察に朴市長をセクハラ行為で告発したことが報じられているが、彼の遺書にも、残された言葉にも自殺理由は示されていない。朴市長が自殺した理由は、いまだ正確には分からない。現状において、セクハラ行為を恥じる気持ちや罪悪感から自殺したというのは、あくまでも「状況証拠」からの憶測にすぎない。
7月13日には被害女性の代理人を務める女性団体が記者会見を開き、「執務室にある寝室に被害者を呼び、抱いてくれと言って体に触った」「一緒に写真を撮ろうと体を密着させてきた」「猥褻なメッセージや下着姿の写真を送ってきた」などの朴市長からのセクハラ被害が、4年間続いたと主張した。
だが、会見では犯行場所を「市長執務室と執務室内の寝室」としながらも、「詳細な方法は申し上げられない」と語るなど、不確かな箇所も見受けられた。ネット上では「市長が自殺するほどの内容だろうか」という声も上がっている。いずれにせよ、被疑者である朴市長が死亡した今、真相の究明は難航することが予想され、迷宮入りの様相を呈している。