一方で、日韓関係に亀裂を生んでいる歴史問題に対しても大きな影響を与えた人物だ。
韓国の歴史教科書の執筆者の中には、彼が初代理事長を務めた歴史問題研究所の構成員が少なくないが、問題は研究所のスタンスがかなり偏向的だということである。
構成員の中には「朝鮮戦争勃発は韓国が誘導した」と主張する教授や、70年代末に起きた最大公安事件である南民戦(南朝鮮民族解放戦線)事件のメンバーたちが含まれ、北朝鮮や親日派問題などに対する論争で、韓国社会に深刻な亀裂を作り出してきた。
2000年に東京で開かれた「女性国際戦犯法廷」にも関わっている。日本の慰安婦問題についての責任を追及する法廷を模したこの民衆法廷で、朴市長は韓国側の検事を務めた。何の法的効力もない“模擬法廷”だが、判決では天皇および日本国の有罪が宣告され、この判決は、後に韓国が慰安婦問題の賠償を求める際に「伝家の宝刀」のように使われている。
日本の“人権派”弁護士とも交流
日本の“人権派”弁護士たちとの交流も活発だ。
慰安婦の呼称として「性奴隷(Sex Slave)」という言葉を広げた戸塚悦朗弁護士、強制動員と慰安婦賠償問題を「裁判」に持ち込んだ火つけ役ともいうべき高木健一弁護士とは90年代から交流をしていた。実際、高木氏の娘は国際交流プログラムの一環として、朴市長率いるソウル市庁舎で勤務した経験もある。1997年8月に戸塚弁護士が朴弁護士(当時)に会合の日程調整のために送ったFaxは、韓国のジェンダー史の記録物として韓国政府運営の「ジェンダーアーカイブ」に保管されているほどだ。
2017年には彼が育てた「参与連帯」の政策委員長、李泰鎬氏が日本に招かれ、「韓国市民運動に学ぶ政権の倒し方+作り方」というテーマで講演を行ったことがある。朴槿恵前大統領の弾劾に際して、選挙ではなく「ろうそくデモ」で政権交代させた方法を宣伝し、広報するために来日したのだが、この時一緒に登壇したのが、今年の都知事選にも出馬した弁護士の宇都宮健児氏だ。この講演では、李氏が「韓国に見習うべきところはないが、デモについては見習うべきだ」と韓国のようなデモを推奨すると、講演後には宇都宮氏が「カムサハムニダ !」(韓国語で「ありがとうございます」)で答える一幕もあった。