1ページ目から読む
2/3ページ目

蛭子さんは「テンリャンピン」で10万円の罰金刑

 漫画家の蛭子能収さんが1998年、東京都新宿区のマージャン店で賭けマージャンを行い、警視庁碑文谷署に賭博容疑の現行犯で逮捕された際、蛭子さんは『テンリャンピン』と呼ばれる1000点200円の少し高めのレートでマージャンを行っていたという。蛭子さんら客14人は即日釈放され、その後、賭博容疑で書類送検されて、略式起訴を経て罰金10万円の刑を受けている。

「黒川氏らは『テンピン』と呼ばれる1000点100円のごく一般的なレートでマージャンをしていました。そういう意味で、不起訴という判断も無理筋ではありません。ただ、高検の検事長という検察の首脳で、しかも検察ナンバー2の立場にありながら、こうも易々と法律を破った事実は、看過すべきではありません。部内処分も訓告と軽い上に、退職金も自己都合退職に伴う減額だけに留まり、5900万円もの大金が支給されたといいます。十分な社会的制裁を受けたとは、言い切れないのではないでしょうか」(同前)

蛭子能収さん ©文藝春秋
東尾修氏 ©文藝春秋

 

ADVERTISEMENT

東尾氏は黒川氏と同様に不起訴(起訴猶予)

 プロ野球の西武ライオンズでエースとして活躍した東尾修氏が1987年に賭けマージャンをしていた事件では、警視庁大崎署などに書類送検された東尾氏は、黒川氏と同様に不起訴(起訴猶予)となっている。

 この際、東京地検は「初犯で、すでに球団から厳しい部内処分を受けるなど社会的制裁も受けている」と、その理由を挙げている。東尾氏は計22回にわたって賭けマージャンを行っていたが、西武球団から謹慎6カ月と2500万円もの高額減俸処分を受けていたことが、不起訴という判断に影響したというわけだ。

稲田伸夫事総長 ©共同通信社
林真琴氏 ©共同通信社

「そう考えると、黒川氏の処遇は随分と甘いものと映ります。『検察は身内に甘い』と思われても仕方がないように感じます。それに、黒川氏不起訴の決定が早かったのは、稲田伸夫検事総長が勇退し、黒川氏の後任として東京高検検事長に就任したばかりの林真琴氏が7月17日付で新検事総長に就任する前に、事件を処理しておきたかったからではないかとも言われています。起訴権を独占する検察の、あまりにも得手勝手な手法に、疑問を感じている国民は少なくないのではないでしょうか」(同前)