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高瀬 意見を聞きたくなる気持ちはわかりますが、あとから「先生、こういったじゃないですか?」って言うのはナシですよね。

おおた 「これからは先行き不透明な時代になるぞ」と子どもたちを脅していたら、シンギュラリティーを待つまでもなくいきなりそういう世の中がやって来て、私たち大人がいまそれに直面させられているわけじゃないですか。そんななかでぜんぶの選択に正解するなんてことはおそらく誰もできないんですよ。だから、ここだけは譲っちゃいけないといういちばん大事なことをご家庭で明確にして、そこは死守することが大切なんじゃないかなと思います。それ以外のことは余裕があれば手を伸ばしてもいいし、無理ならあきらめると割り切るしかない。自分たちの軸を決めずに正解を外に求めようとして、右往左往するのがいちばん危険でしょうね。

こんな状況でも「他人を出し抜こうとするひとたち」

高瀬 このコロナ禍でもリモートでできる取材をしていますが、そのなかでも「いまの時期なら他を出し抜ける」と思っている親御さんもかなりいらっしゃって驚くのですが。

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おおた いるでしょうね。

高瀬 ぞっとしますよ。せっかく学校がないんだったら、違う視点で、たとえばいっしょに料理をするとか、工作をしてみるとか、普段はできない学びに結びつく楽しい時間を親子で過ごせたらいいなと私は思うのですが、「何かの振り返りをしなきゃ」とか「テキストのここをやらなきゃ」とかいうのを見るにつけ、ちょっと頭が痛いというか……。

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おおた 漫画で出てくる島津順くんのおうちがコロナ休校になったら恐ろしいですよね。あのスパルタ父さんがどこまで順くんを追い込んでしまうか。

高瀬 恐ろしいですよ! 逃げ場ないですよね。

おおた 実際には、そういう子が休校期間中はたくさんいたんだろうなと思うんですよね。心配だなぁ。

高瀬 中学受験の悩みって、他人にはなかなか相談しにくいから、余計視野が狭くなってしまう分野だなあというのはあって……。ですから、今回のおおたさんの本をたまに読んで、いろんな視点があるんだというのを思い出しながらやっていけるといいんですけどね。

おおた 一度読んだだけでは腑に落ちないかもしれませんけれど、こういう中学受験のとらえかたがあるというのを頭の片隅に置いておいてもらえれば、いざピンチが訪れたときに自然に発想の転換ができるようになると思うんですよね。コロナの影響で延期になっているドラマの「二月の勝者」がいつ放送されるか、待ち遠しいです。

(【初回】「東大合格は努力か環境か?」『二月の勝者』作者と考えた“中学受験の親”が捨てるべき下心 を読む)