人気の中学受験漫画『二月の勝者』の名場面と「中学受験の親が子どもにかけたいセリフ」を掛け合わせた異色のコラボ本『中学受験生に伝えたい 勉強よりも大切な100の言葉』。著者は教育ジャーナリストのおおたとしまささん。教育関連書籍を60冊以上執筆している中学受験の専門家だ。

『二月の勝者』の作者・高瀬志帆さんとおおたさんに、コロナで激変する最新の中学受験事情について話してもらった。(全3回の3回目/#1#2も公開中)

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「いつもの中学受験セオリーが通用しません」

おおた いったん本や漫画を離れて、現実の中学受験事情についてお話ししたいと思うのですが、いまはなんといってもコロナの話になっちゃいますよね。模試ができなくて困ったねとか、学校によって夏休みの期間も違うのに塾の夏期講習はどうするんだろうねとか。

高瀬 すごいですよね。今年は普段通りの中学受験が通用しなくなっているので。

おおた 本当にそうですよね。いつもの中学受験セオリーが通用しません。だからこそ情報に振り回されるのではなく、まずは親がこの本に書いてあるような信念をもって腰を据えるしかないよねという……。高瀬さんは今年の中学受験でどんなところに注目されていますか。

中学受験生に伝えたい 勉強よりも大切な100の言葉

高瀬 学校を選ぶ際に、今回のコロナへの対応を基準にするご家庭も多いんじゃないかと思います。中学受験だけじゃなくて、高校選びや大学選びでも同じだと思いますけれど。

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おおた 対応ということで言うと、ちょっとマニアックな視点になってしまうのですが、今回のコロナに各学校がどういう組織論で対応したのかというのが気になります。決断が早かった学校はおそらくトップダウンの組織なんです。逆に普段から民主的な学校運営を旨とする学校ほど合意形成に時間がかかってしまい、出遅れるはずなんです。それはちょうど世界各国のコロナ対応と同じです。トップダウンの国ほど強力な策を手早く打てる。一方、民主的な国ほど出遅れるということがある。でも、民主的な組織のほうが、長い目で見たらみんなにとって満足度の高い結論に到達できるということもあるわけで、短期的に評価できるものではないなとは思っています。何はともあれ、不安な生徒や保護者への丁寧なコミュニケーションができていたかどうかは重要な観点だと思いますが。高瀬さんはどういうところに着目するんですか?