新型コロナウイルスの影響により、やむを得ず休業措置をとった企業や店舗のうち、7月に入っても事態が収束せず、なかには営業継続をあきらめるところも出てきた。そんな中、「住宅ローン」に頭を悩まされている人もいる。住宅購入用の長期ローンは金利や支払額が一定というものも多い。低金利ローンに魅力を感じて夢のマイホームを手に入れたが、コロナ禍で様々な選択をした人たちに話を聞いた。(取材・文=素鞠清志郎/清談社)
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月収は30万円から10万円に
中山貴文さん(仮名・40歳)は、運営会社の社員としてカラオケ店に勤務。勤続8年目となる今年の春にコロナ禍によって店舗は休業。当時は自宅待機を命じられ給料は半分以下となり、マイホームを手放すことも検討するような状況に追い込まれた。
「家を購入したのは3年前です。首都圏に建つ中古の一軒家で、価格は2000万円。結婚して妻がいるので、ふたりで住める終の棲家が欲しかったんです。中古ですけど築年数は浅く、気になる部分は可能な限り自分でリフォームしながら大事に住んでいました。
仕事はローカルチェーンのカラオケ店に勤めていました。正社員で月収は30万円前後。家のローンは月10万円くらいなので、妻のパート代とあわせてなんとか払っていける計算でした。それがコロナになって店は休業。会社からは自宅待機を命じられたのですが、その間の給料は10万円ほどに下がってしまいました」
「コロナが収まるまではどうしようもない」
月10万円の手取りでは、ローンの支払いで日々の生活が回らなくなってしまう。
「会社には待遇の改善を申し入れたのですが、コロナが収まるまではどうしようもないという話でした。そこで、もし家のローンが払えなくなったらどうなるんだろうと調べ始めると、家を買った時には見過ごしていたローン契約の詳細がわかってきました。ローンの支払い先の銀行は、この状況でも待ってくれません。支払いが滞れば契約そのものが破棄となり、残債の数千万円を一気に払わなければならない。もちろんそんな持ち合わせはないですから、支払えない場合は家が競売にかけられる可能性もあるとか……。今は任意売却の専門会社に相談して、ローンの借入先と交渉しているところなんです」