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1年後の五輪より“個人の明日” もし私がプロ野球チームの経営者だったら“今週の目標”を打ち出す

池田純「スポーツビジネス・ストロングスタイル」#4

2020/07/22
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小さくてもいいから、ファンと世の中を楽しませたい

 私は今、プロバスケットボールのB3・さいたまブロンコスの経営を担う立場にありますが、現況下において、B2昇格や、将来的なB1優勝を目標として掲げることはしません。それは、きっと数年後、コロナの不安が完全に払拭されたときに考えるべきこと。そのくらいに考えています。

 ブロンコスについては、つい先日、チーム名、チームロゴ、チームカラーの変更という大きな変化を打ち出したばかりです。次はどこよりもカッコいいユニフォームをつくろう。その次はこんなことをして、世間を驚かせよう――そうやってブロンコスにしかない、私なりの今の社会への挑戦のシナリオを描きながら、小さくてもいいから、ファンと世の中を楽しませたい、元気にしたいと考えています。

さいたまブロンコス新ロゴ

 念のために付記しておきますが、私はもちろん、オリンピックは実施してほしいと思っています。各スポーツのリーグ戦も、最後までやりきることが可能であってほしい。ただ、それと同時に「今、心躍ること」を大事にすべきだと思うのです。

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 選手個人めいめいが、あるいは各チームが各々勝手独自で挑戦の心あふれるシナリオを描き、おもしろいことに挑戦し、先の展開をにおわせつつ、世の中を駆動させていくようなことに取り組んでほしい。

 コロナによる社会変化に対応できなければ、スポーツの持つ力は大きく削がれていくでしょう。オリンピックはまさしくその評価が問われる舞台です。価値観の転換をうまく捉えて適切な手を打てれば、今だからこそ大きな注目を集め、スポーツの力をあらためて世に知らしめることができます。

©︎iStock.com

 大きな大きな分岐点にある日本のスポーツ界が、より日本社会の元気をリードする存在へと進んでいくことを願っています。

1年後の五輪より“個人の明日” もし私がプロ野球チームの経営者だったら“今週の目標”を打ち出す

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