1ページ目から読む
4/5ページ目

「来週、いつも練習しているプールで世界記録に挑戦します」

 では、どんな目標を掲げたら、みなさんに共感してもらえ、そのアスリートやチームの活動が社会的に注目を集められるようになるのか。

 たとえば、オリンピックの代表に選ばれている水泳選手が「来週、いつも練習しているプールで世界記録に挑戦します」と言ってくれたら、どうでしょう? その挑戦がしっかり演出されていたらどうでしょう? 心が躍りませんか?

※写真はイメージ ©︎iStock.com

 あるいは、体操選手が「まだ誰も成功したことのない新技に挑戦します。明日、YouTubeで配信します」と言ってくれたら、多くの人が見ませんか? そこに水泳連盟や体操協会が、彼らの“世界記録”や“世界初の新技”を認定できるよう動き出してくれたなら、大きなストーリーが展開していくような予感が生まれます。

ADVERTISEMENT

 端的に表現するなら、今は、1年後のオリンピックより、個人の明日のほうが強い。そうした認識のもとに、スポーツ界は様々な新しい取り組みを行うことに力を注いでいけば、どんな時代でもスポーツの力で社会を元気にする潜在能力を具現化し、世間に披露できる、そう私は思います。

私なら“今週の目標”を打ち出す

 もし私がプロ野球チームの経営者だったら、リーグ優勝は当然の目標として特に強調はせず、むしろ毎週、“今週の目標”を強く打ち出します。

 たとえば、「今シーズンは6タテ目標! 今週こそは絶対“6タテ”を達成! そのために戦力総動員」

 そのほうがファンの心をより強く刺激することができる。

 あるいは、シーズン中のある1カ月で自分のチームが最も多く勝ったなら、勝手に「月間優勝チーム」としてお祝いしてしまう。「7月度優勝!」と独自基準で盛り上がり、それに付随して様々な施策を講じていく。

 先が見えない世の中だからこそ、そこに至ることすら不確かな目標ではなく、より確実に到達できる目先の「そこならみえる」「そこならついていける」という分かりやすい目標に基づいたシナリオを積み重ねるのです。