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山本裕典 懺悔告白60分「『とっとと引退してください』とまで書かれたけどホストまがい営業はしてない」

“舞台クラスター”座長初インタビュー

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——「観客の出待ちを容認していた」という報道もありました。山本さんはファンにどういう対応をしてしまった?

「僕は千秋楽の時にファンと握手をしてしまいました。今回の公演では、それまで、僕のマネージャーがファンに帰ってもらうように説明してくれたり、プレゼントを受け取ったり対応してくれたのですが、千秋楽の日に、どうしてもという何十人っていうファンが外に待っていてくれて、そこで軽い握手みたいなものはしてしまいました。

 どうしても僕らタレント側が『やめてください』とか『帰れ』とか言えない。悪者に見えてしまうので。だから、ほかの共演者の子たちの場合でも、やっぱり運営側のスタッフやマネージャーさんが外でそういう動きをできたんじゃないかなっていうところはあります。

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 ただ、予算がなく人がさけないのも事実です。僕はありがたいことに車で帰れてますけど、大抵の共演者は電車で劇場に来る。そうなると、ファンの人たちを“剥がす”行動ってすごく難しいし、僕らも強く断る勇気を持たないといけない。お客さんの方も意識を高めて、お互いの共通認識がちゃんと働かないと難しい」

パチンコの件で感染が広がったわけではない

——「観客が配布されたフェイスシールドをしていなかった」との指摘もありました。舞台の上から見ていて、最前列の客がフェイスシールドを外していたことや、お客さん同士が密だなという感覚はありましたか?

「よく報道で、舞台関係者が『密だった』って話していますけど、自分はそれほど密だなっていう印象は受けなかったです。やはり100近く座席を減らしていたから。ただ小劇場なんで、箱自体が元々ちっちゃいのもあるので悩ましいです。フェイスシールドが配られているとは知りませんでした。そこは認識不足でした。すいません。

 今回の舞台は、最初20分お芝居をして、そのあと1時間『人狼ゲーム』。そして最後に歌があるというトータル2時間くらいの舞台。最初のお芝居が終わったあと1回休憩をいれていました。通常だったら2時間ぶっ通しでやるような芝居に休憩を挟んだのは換気のためと僕らは聞いています。出演者は、稽古中からもソーシャルディスタンスを保ったり、換気したり、手洗い、うがい、アルコール消毒を徹底するなど気を使って動いていました」

新宿シアターモリエール(公式サイトより)

——とはいえ山本さんは、緊急事態宣言が出ていた5月にパチンコ店に行ったことが報道されています。本当にコロナの感染に気を使っていたのですか?

「そう思われても自分が撒いた種なので仕方はないと思います。ただ今回の舞台に関しては、パチンコの件があったから感染が広がったとかは絶対にないです。舞台の1カ月以上前から遊びにも出ていませんし、限られた人にしか会っていません。パチンコ報道があったことだし『お前が言うなよ』って話になるとは思うし、信じてもらえないかもしれませんが、そこはストイックに、舞台前の稽古やドラマの撮影に向けてやってきました」

——ただ、結果として爆発的な感染者が出た。スタッフである有村昆さんも感染し、妻の丸岡いずみさんも感染してしまった。感染した観客にはお年寄りと同居している人もいるかもしれない。それについては、どう思いますか?

「昆さんの奥さんやご家族はもちろん、キャスト、ゲスト、舞台スタッフ、なによりお客さん、濃厚接触者って言われている人たちと全ての周りの人たちは、検査の結果が出るまでとても不安だったと思うし、検査の結果でより不安になった方々がいると思うんです。本当に無事であることを祈ることしかできなくて。一日も早く日常生活に復帰できるように祈ることしかできない。僕の立場でどうこうって言うのも変ですけど、この舞台に携わった人間として、そして一応、座長っていうことで、そういった舞台でそういったことが起きてしまったっていうことに関しては。心からお詫びを申し上げたいです」