文春オンライン

「お役に立ちたい」在宅勤務なのに出勤してくる50代社員にどう対応すべき?――中野信子の人生相談

あなたのお悩み、脳が解決できるかも?

2020/07/26

 緊急事態宣言下の4月22日~5月4日に、「文春オンライン」にて、みなさまのコロナ禍のお悩みを募集しました。お寄せいただいた中から全7つのお悩みに、脳科学者の中野信子さんがお答えします(全7回中4回/3回目を読む/5回目以降は後日公開予定)。

中野信子さん ©文藝春秋

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Q 在宅勤務なのに毎日出勤してくる嘱託社員──39歳・シングル・シンクタンク勤務からの相談

 職場はリモートワークになっていますが、管理職は交替で時短出勤しています。しかし、嘱託社員の50代の女性が、どんなに「自宅勤務にしてください」と言っても「お役に立ちたい」と出社してきます。でも彼女の仕事は特にないのです。最近では彼女が職場に来るだけでイライラするようになりました。何で来るんだ! と思うのです。彼女はなぜ、頑なに出社するのでしょうか。

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発売中の『週刊文春WOMAN vol.6 (2020夏号) 』に掲載

A これはイライラしますよね。なぜ毎日来るのか、意味がわからない。でも、物事には必ず理由があります。彼女なりの理由があるのでしょう。

 例えば、夫がテレワークでずっと家にいるので自分はネットを使えないから仕事にならないのかもしれないし、あるいは家庭内でDVに遭っているので家にいたくないのかもしれない。コロナに感染した場合のリスクは誰もが承知しているはずですが、それでも毎日来るというのは、彼女には何か感染リスクを上回る恐怖があるのかもしれません。

 この場合、「彼女の仕事は特にない」と書かれていることにヒントがあるように思います。彼女自身も、自分に特に仕事がないことくらい、当然わかっているはず。つまり、出社し続けていなければ、このまま仕事を与えられず、リストラされてしまうのではないかと怖れているのではないでしょうか。