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東スポの奇襲「天才藤井七段 キノコ嫌い」

 そんな報道スタイルが定着したなか、7月4日付の東スポが凄かった。

《無類の強さを見せつけた藤井七段だったが、この日、唯一の弱点を見せた。》

 一体何事か。

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藤井聡太新棋聖 提供:日本将棋連盟

 読んでみるとこの日の昼食「冷やしきしめん御膳」の天ぷらの具材の「シイタケがトウモロコシに代わった」というのだ。

 東スポは勝又清和七段に取材を敢行。

《藤井七段はキノコが嫌いのようなんです。食わず嫌いで、キノコを食べたことはないが、キノコ類全般が苦手だと言っていました。料理を注文する際は必ずキノコ抜きを頼むそうです。》

 さらに「実は藤井七段は以前の対局時にもハヤシライスをマッシュルーム抜きで注文している」と追撃。

 この日の一面見出しは、

「天才藤井七段 キノコ嫌い」

 東スポの奇襲の一手である。たぶん。

代表撮影

“怪物”藤井棋聖は「AI世代」

 今回、「昼食」とは別に藤井報道で多いキーワードがあった。それは「AI」(人工知能)である。

 藤井棋聖の飛躍の背景にはAIを取り入れた地道な研究の積み重ねがあることは各紙で報じられている。

 日刊スポーツの短期連載のタイトルはずばり「AI時代とともに」だった。

《「怪物」とも呼ばれる17歳はAI世代でもある。平成時代の後期、将棋界に最も大きな影響を与えたのがAIの進化だった。》

《AIから得られる知識をうまく生かしながら、自らが考えて結論を出す。新時代にあった「藤井将棋」を作り上げていっている。》

 その結果、

《進化したAIをもってしても、藤井の1手を予想できない時がある。》(7月17日)

提供:日本将棋連盟

 藤井棋聖はタイトル獲得後の会見で「数年前には棋士とソフトの対局が大きな話題になりました。今は対決の時代を超えて、共存という時代に入ったのかなと思います」と述べている。まさに理想のAIとの付き合い方ではないか。