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 配信ライブを行う関係者たちの声を聞いていると、配信ライブを実施しようとするモチベーションは、ビジネス以前に、エンタテインメントを能動的に動かそうとする気概に尽きる。感染状況次第では、企画したイベントすら実施できない可能性もあるが、今出来ることを前進させることに尽力していると感じる。配信ライブを通して、いつかはあの会場で観たい・会いたいと思いを募らせる観客を一人でも多く生むことで、ライブビジネスの未来に繋げていると考えられる。 

例年7~9月は夏フェスシーズンだった

 ちなみにワンマンライブに限らず、例年この7~9月は各地で大小の夏フェスが開催され、大規模イベント真っ盛りのシーズンだ。去年は3カ月で200を超えるフェスが全国で開催されたが、今年はほとんどが中止や延期に追い込まれた。

 しかし、配信を採用して開催にこぎ着けるイベントも登場している。7月末~8月頭に「ビバラ!オンライン2020(VIVA LA ROCK)」、8月末に「a-nation」、9月には西川貴教主催の「イナズマロックフェス」、気志團主催の「気志團万博」等が有料配信ライブを予定。

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気志團の綾小路翔 ©getty

 また、9月に開催の松崎しげる主催「黒フェス」、海外勢を含む「スーパーソニック」、「中津川ザ・ソーラーブドウカン」等は、有観客の生ライブと有料配信ライブの並行実施を予定しており(7月28日時点)、政府のイベント制限が一進一退する中で、出来る限りの準備を進めているようだ。 

 現場での感染防止対策の徹底は当然のこと、規模の大きな有観客の生ライブを安全に安定して行うための環境整備やシステム作りのためにも、有料配信ライブは役立っている。そしてこの先、有観客の生ライブと並行して、有料配信ライブも+αの選択肢として存在すれば、ポストコロナ時代において、豊かなエンタテインメントが楽しめるのではないだろうか。