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『14歳の母』『恋空』......風のように駆け抜けるシーンは俳優・三浦春馬の真骨頂だった

過去の出演作を振り返って感じた“輝きと勢い”

2020/07/23

 テレビドラマでもカズオ・イシグロ(ノーベル文学賞受賞)原作の『わたしを離さないで』(16年 TBS 系)に出演、サスペンスドラマ『TWO WEEKS』(19年 フジテレビ系 制作カンテレ)では初の父役で、かつ困難をくぐり抜けていく逃亡犯を演じた。さらに、この作品では主演とともに、主題歌も歌いCDデビューを果たす。もともと歌が上手かったのでCDデビューはファンにとって待ちに待ったものであっただろう。この8月には2枚目のCDが発売される予定であった。動けて歌えて背も高く見栄えもいいし演技も巧い、なかなかこれだけそろった俳優はいないから、それだけ期待は大きかったであろう。

8月26日発売予定で予約販売も開始されていた2枚目のシングルCD「Night Diver」

 7月23日公開の映画『コンフィデンスマンJP プリンセス編』は『~ロマンス編』(19年)に次ぐ出演で、天才詐欺師・ジェシー役。初登場の『ロマンス編』では、長澤まさみ演じる主人公ダー子とワケありの同業者でロマンチックな場面もあればスリリングな場面もあり、騙し騙され結末が予想できない攻防を繰り広げる。映画版から登場したキャラだが『コンフィデンスマン』シリーズになくてはならないキャラになっていた。

日本各地の名品を取材する「日本製」を書籍化したばかり

 演じる三浦春馬もいいが、歌手のJUJUと一緒に世界の素敵な名品を紹介する『世界はほしいモノにあふれてる~旅するバイヤー極上リスト~』(NHK)も人気だった。番組で終始、好奇心旺盛な瞳でモノやひとを見つめる三浦だったが、とりわけ宝石(ブルームーンストーン)を選んでピンキーリングを作った回の真剣さは観ているこちらもワクワクした。コロナ禍の下、電話出演で過去回の回想をしていて「あのリングいまもしてますか」と聞かれたとき「ご想像におまかせします」と答えていたのも印象的だった。

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 また、日本各地の名品を取材する雑誌連載で今年4月に書籍化されたばかりの『日本製』も興味深いものを紹介していた。忙しいなか、毎月、全国をめぐっている姿からは熱意が感じられた。記事には取材地に前泊して温泉や土地の美味しいものを食べるなど旅を満喫する描写もあって、素直で好奇心旺盛で、今まさに多くのものを吸収しているところだったのではないかと思う。

 どんな役でものびのびと演じていた三浦春馬。すでに撮影済みの作品が何作も控えている。これからの作品もぜひ見たいが、改めて過去の三浦春馬出演作を見て、その輝きと勢いを感じたい。一作おすすめするとしたら、『アイネクライネナハトムジーク』のおだやかで幸福な結末であろうか。

三浦春馬 ©Getty
『14歳の母』『恋空』......風のように駆け抜けるシーンは俳優・三浦春馬の真骨頂だった

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