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私が「孤独死のミニチュア」を作り続ける理由――遺書と、壁に「ゴメン」の3文字が残された部屋

遺品整理人・小島美羽さんインタビュー #1

2020/07/26

孤独死やわたしの仕事を、理解できなくても

――小島さんは、ミニチュア制作だけでなく、本の執筆や取材を受けることで「孤独死」にまつわる経験や考えを外に向けて伝え続けていますよね。6月に放送された「ザ・ノンフィクション」(フジテレビ)の「孤独死の向こう側 ~27歳の遺品整理人~」で、小島さんは東京大学で行われた小さな講演会にも足を運ばれていました。

 先ほどの「わたしはこうはならないわ」の声もそうかもしれませんが、手ごたえとは逆に「伝わらなさ」を感じることはないのでしょうか。

著書『時が止まった部屋』公式アカウントより

小島 イベントの登壇者として参加させていただくと、わたしの話を聞きたくて来た人が半分、いつもこのイベントに来ているので習慣で来た人が半分。そんな感じです。「ザ・ノンフィクション」では東大の講演会の時に、ミニチュアを作るのは「お仕事なんですか、趣味なんですか。それともストレスのはけ口なのか」という質問をした人や「イヤだなと思うこともあるのかな……とか、ぶっちゃけどうなのかなと。自分の感情をどう扱っているのか」と質問した人がいて、これは純粋にみんなが疑問に思うことなんだろうなと思いました。

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 わたしは「亡くなった人を家族のように思って、遺品整理や特殊清掃の作業をしている」と話したのですが、一般的にはどうしてもそういう風には考えられないですよね。他人は他人ですし、縁起悪いと思う人もいる。もちろん全員に理解してもらおうとするのは難しいと思います。でもその中にいた誰かに「自分の周りにいる大切な人を大事にしよう。後悔なく生きよう」と思ってもらえれば、わたしの目標は達成できるのかなと思う。あの時も、「なんて質問をするんだ」と静かに怒った目をした男子学生の人がいました。孤独死のことやわたしの仕事を理解できなくても、大切な人のことを考えるきっかけになればいいのかなと思っています。

#2では、小島美羽さんが遺品整理・特殊清掃の仕事をはじめるようになったきっかけと、仕事を進める際の実際の方法について伺いました。〉

私が「孤独死のミニチュア」を作り続ける理由――遺書と、壁に「ゴメン」の3文字が残された部屋

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