弘道会による大量の引き抜きも
神戸山口組からは、絆会が離脱しただけでなく、6代目山口組による引き抜きも行われてきた。
特に、神戸山口組とその中核組織である山健組が揺れる中、水面下では慌ただしい動きが進んでいた。
2020年春から夏にかけて、山健組から山口組弘道会系の有力組織である野内組への移籍者が相次いだのだ。さらに、絆会からも野内組に移籍する動きが急加速していた。
絆会は一時期、解散へ向けた内部での話し合いが持たれていたが、こうした動きも大きな原因となったとされている。山健組、絆会からの移籍は数十人規模となっている。
岐阜市に拠点を構えている野内組の組長の野内正博は2019年11月に弘道会のナンバー2である若頭に就任している。
1月7日に、山口組と神戸山口組の双方が特定抗争指定暴力団に指定された際に、弘道会の名古屋市、山健組の拠点がある神戸市とともに岐阜市も警戒区域に設定されたのは、野内組の事務所があるためとされている。
野内組について、警察庁幹部が明かす。
「弘道会で若頭補佐として活動してきたが、若頭に抜擢されたのは、弘道会上層部に以前からかなり大きな信頼を寄せられていたからだ。きわどいことをしでかす弘道会の中でも、さらにきわどい仕事を任されてきたと聞いている」
岡山襲撃事件の報復問題が火種?
3年余り前に絆会が離脱しただけでなく、6代目山口組弘道会系からも引き抜きをかけられる神戸山口組。ここにきて表面化した山健組の分裂で、さらに動揺が広がっているが、別の警察庁幹部は今年5月に岡山で発生した発砲事件との関係を指摘する。
岡山市の市街地で、神戸山口組系池田組の若頭が、6代目山口組系大同会幹部に銃撃されて重傷を負った事件だ。実行犯は逮捕されたが、神戸山口組組長の井上が、池田組による報復を許さなかったとの情報があり、警察当局は実態について調査を進めている。
井上が止めたとすれば、それに対する反発もあり、内部で火種がくすぶっている状態が続いているものとみられる。その警察庁幹部が語る。