《松井玲奈 まつい・れな――役者。1991年7月27日生まれ。愛知県豊橋市出身。》
昨年4月に刊行された小説集『カモフラージュ』(集英社)の巻末の著者プロフィールは、こんなあっさりとしたものだった。職業は「女優」でも「俳優」でもなく「役者」。生年月日と出身地のデータ以外に、これまでの経歴に関する記述は一切ないのが潔くも思える。著者の情報を必要最低限にとどめたのは、何の色眼鏡もかけずに読
きょう、29歳の誕生日を迎えた松井玲奈が、名古屋を拠点とするアイドルグループ・SKE48を卒業してから来月で早5年が経つ。2008年に同グループの1期生として加入した彼女は、同姓の松井珠理奈とともに人気を集め、シングル表題曲で何度もセンターを務めたほか、AKB48でもシングル「10年桜」以来、選抜メンバー常連だった。
「ゴキブリを見ると感情が爆発する女の子」文化祭で演技に目覚める
卒業をラジオの深夜番組『オールナイトニッポン』で発表したのは2015年6月。その前月、松井がAKB48の横山由依と主演を務めた舞台『マジすか学園~京都・血風修学旅行~』終演後の出演者のあいさつでは、共演したほかのAKB48グループのメンバーらが素に戻るなか、松井だけが役をまだ演じ続けるようにキリッと前を見据え、何か決意したような表情だったのが、いまも筆者の記憶に残る。卒業コンサートは8月、地元・愛知の豊田スタジアムで開催された。ちょうど同日には、彼女がその年の春まで1年間あまり兼任していた乃木坂46も東京の神宮球場でコンサートを行なっており、両会場を結んで乃木坂のメンバーがサプライズで豊田スタジアムの大型モニターに登場し、松井にメッセージを送っている。ちなみに乃木坂で一緒に活動したひとり、深川麻衣とはその後、NHKの朝ドラ『まんぷく』(2018~19年)で共演を果たした。
役者になるのは、SKE48に入る前からの夢だった。ドキュメン