今回紹介した技術は大学や病院の研究所などで行われてきた基礎研究をベースにヒトへ応用しようとしているものである。
世界的に有名な生物学者であったホールデンが、自身がそれまでに得た研究成果や知見から、150年後の未来に期待して『ダイダロス あるいは科学と未来』を記したように、現行で研究されている基礎研究や応用研究が普及するまでには、とにかく時間がかかる。
それでも100年前の彼らの時代よりは幾分その期間も短縮されているだろうし、おそらく、現代では25年後とか50年後の未来のテクノロジーを大学や研究所で作っている……と考えれば、そう遠くないのではないだろうか。
政治家や実業家とは、現状の維持のための施策と未来の事業発展のための投資の両輪を回すことのできる人間であると考えているが、その際に次々と未来の種を生み出していく大学や研究機関へ一方的に敵意を向けていくのは、「もったいない」とは言えないだろうか。政治家や事業家の諸氏には、「金の卵を産む鶏」をいかに育てる環境を作っていくかという本来の専門領域で十二分に能力を発揮していただきたいと思っている。
……え? この記事がもう「眠たくなる」? なるほど、一理ある。
参照文献:
1. Partridge EA, Davey MG, Hornick MA, et al. An extra-uterine system to physiologically support the extreme premature lamb [published correction appears in Nat Commun. 2017 May 23;8:15794]. Nat Commun. 2017;8:15112. Published 2017 Apr 25. doi:10.1038/ncomms15112
2. Usuda H, Watanabe S, Saito M, et al. Successful use of an artificial placenta to support extremely preterm ovine fetuses at the border of viability. Am J Obstet Gynecol. 2019;221(1):69.e1-69.e17. doi:10.1016/j.ajog.2019.03.001
3. Rossidis AC, Baumgarten HD, Lawrence KM, et al. Chronically Hypoxic Fetal Lambs Supported by an Extra-Uterine Device Exhibit Mitochondrial Dysfunction and Elevations of Hypoxia Inducible Factor 1-Alpha. Fetal Diagn Ther. 2019;45(3):176-183. doi:10.1159/000488283
4. Magalhaes RS, Williams JK, Yoo KW, Yoo JJ, Atala A. A tissue-engineered uterus supports live births in rabbits. Nat Biotechnol. 2020;10.1038/s41587-020-0547-7. doi:10.1038/s41587-020-0547-7
5. Romanis ECArtificial womb technology and the frontiers of human reproduction: conceptual differences and potential implicationsJournal of Medical Ethics 2018;44:751-755.
6. Takahashi, T.M., Sunagawa, G.A., Soya, S. et al. A discrete neuronal circuit induces a hibernation-like state in rodents. Nature 583, 109–114 (2020). https://doi.org/10.1038/s41586-020-2163-6
7. 筑波大学プレスリリース http://www.tsukuba.ac.jp/attention-research/p202006111800.html