昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

又吉直樹が語る「どうして僕はダウンタウンと太宰治で笑ってしまうのか」

“テレビっ子”又吉直樹が語る「テレビのこと」#2

芥川賞のことは、とてもじゃないけどネタにできないんですよ

――最近読んだ小説でコントっぽいなって思ったものはありますか?

又吉 コントっぽい小説……。あ、教科書によく載っている短編ですけど、ヘルマン・ヘッセの「少年の日の思い出」。あれを読み返したんですけど、ちょっとコントになりそうだなと思いました。自分のコレクションより美しい蛾の標本を持っている奴がいて、それを盗んでポケットに入れたらグシャグシャになったという昔の思い出を、今後悔してるっていう話。あれ、文学の作品として面白いし、考えさせられることもいっぱいあるんですけど、この「思い出」を回想して語り聞かせている人のところに、蛾を盗まれた友達が来て「なんか昔のいい思い出みたいに語ってるけど、まだ許してないし」とか言いに来る感じの展開とか考えてしまいますよね。

――あはは(笑)。芥川賞受賞以降、いわゆる“作家先生”みたいな扱いをされてしまうことも多いかと思うんですが、それは今、お笑いをする上で邪魔になったりしませんか? 

又吉 正直言うと、僕じゃない人がこの状況にあったら、もっと笑いにできていると思います。でも僕は、小説が好きすぎるし、受賞で受けた恩恵というものも大きい。だから、芥川賞のことをとてもじゃないけどネタにできないんですよ。いやいや、芸人だったらそこは全部笑いにしようよ、と言う人もいるでしょうけど、その一線は越えられないですね。面白おかしくやっちゃったら、これから受賞する方や、文学というものに申し訳ない。お借りした部屋は、ちょっとでも借りた時よりきれいにして返したいんですよ。ただ、このスタンスがいずれ大きな笑いを生み出すんじゃないかとも思ってるんです。今、ふざけへんことで、味を残すというか、10年、20年とか経った時に、よりふざけやすくなるのかなという気はしているんです。

 

写真=榎本麻美/文藝春秋

(#3に続く)

またよし・なおき/1980年大阪府寝屋川市生まれ。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のお笑い芸人。2015年「火花」で第153回芥川龍之介賞を受賞。著書に、『第2図書係補佐』『東京百景』『夜を乗り越える』『劇場』などがある。

INFORMATION

「さよなら、絶景雑技団」
【会場】よみうりホール(東京都千代田区有楽町1−11−1 読売会館)
【日時】2017年9月9日(土)開演 18:30、9月10日(日)開演 18:00
【出演】ピース・又吉直樹、グランジ・五明拓弥、しずる、ライス、サルゴリラ、囲碁将棋・根建太一、ゆったり感・中村英将、井下好井・好井まさお、パンサー・向井慧、スパイク・小川暖奈
【料金】前売6,000円/当日6,500円(税込・全席指定)

「『やぁ』、朗読会」
【会場】よみうりホール(東京都千代田区有楽町1−11−1 読売会館)  
【日時】2017年9月10日(日)開演 13:30
【出演】ピース・又吉直樹、グランジ・五明拓弥、しずる・村上純
【料金】前売3,000円/当日3,500円(税込・全席指定)

この記事の写真(5枚)

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー