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又吉直樹が語る「コントには綾部が必要なんです」

“テレビっ子”又吉直樹が語る「テレビのこと」#3

note

コント番組には綾部とか、パフォーマンス能力の高い人が必要なんです

――この「絶景」シリーズのコントライブは今回3回目。6年ぶりですね。

又吉 間隔が空いたことはプレッシャーになってますね。出演するほうも、みんな芸歴を重ねてるだけじゃなくて、例えばライスは『キングオブコント』で優勝してたり、しずるもその常連だったり、囲碁将棋も『M-1』や『THE MANZAI』で善戦してます。向井(慧)はいっぱいテレビに出て、好井(まさお)は『すべらない話』で活躍したり、それぞれ力つけてきていますから。

 

――ライブ開催までに結構時間が空いたのはどうしてなんですか?

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又吉 後輩たちには、それぞれコンビの仕事を優先的にやってもらいたかったから、というのが一つです。それから、僕自身このコントライブに臨むのは2作目の小説を書き上げてからと決めていたんです。そうしたら、ちょうど綾部がアメリカに行くって言い出したタイミングに重なったんですよね。それに触発されたというのもあります。

――又吉さんの芥川賞受賞に触発されて綾部さんが渡米を決めて、それに触発されて又吉さんが原点に戻るようなコントライブをやるっていうのは、すごくいい関係ですね。

又吉 自分もなんかせな、みたいな気持ちはありました。でも、あいつまだ日本でくすぶってるんですよね。なんで俺がこんな頑張らなあかんねん(笑)。

――今後また、テレビでコント番組をやりたいという思いはありますか。

又吉 できるならやりたいですね。自分で作る側もやってみたい。なんでもサッカーにたとえてしまうんですけど、僕は結局左のウィングバックなんです。芸人としてもたぶんそうやと思ってて、トップ下とかボランチはできないんですよ。器用さもないし。ただサイドに限界まで張っとくから、そのへんでごちゃごちゃしたら、一回こっちにイチかバチかで振ってみてくださいっていうポジション(笑)。ですから、自分がコント番組のど真ん中で、演者として全コントに出て立ち回るというイメージは、正直ないですね。やっぱり綾部とか、吉村崇とか、直美とか、演者としてのパフォーマンス能力の高い人が中心にいるべきなんです。ただ、自分に関しても演者としてゼロやとは思ってないので、左サイドには張っていて、ここってとこでボールを受けたいですけどね、やっぱり。

 

いつか映像作品の脚本も書いてみたい

――今コント番組ができない代わりに、たとえばバカリズムさんがドラマの脚本を手がけたりしています。又吉さんもいつか、コント以外の脚本も書いてみたいですか?

又吉 書きたいですね。フジテレビの番組でビートたけしさんが審査委員長をしていた、動画作品を作って競う『オモクリ監督』ってありましたよね。あの番組、やってて楽しかったんです。自分で作った映像をテレビで流せるってなかなかないじゃないですか。あの延長線上にドラマや映画があると思うんです。もちろん、うかつには飛びこめない世界だとは思いますけど、やってみたい気持ちはありますね。

――又吉さんはバラエティのみならず、経済番組『オイコノミア』や、『NEWS ZERO』でキャスターも務めるなど、様々なジャンルで活躍されています。そんな又吉さんからみて、今のテレビってどう思われますか。

又吉 そうですね……、僕はやっぱり面白いなと思いますけどね。それこそバラエティだけじゃなく、いろんなジャンルもあって面白い。『オイコノミア』では僕が突飛な質問すると、相手役の先生、その場で流してくださればいいのに「持ち帰ります」って誠実に答えを探して来てくれるんですよね。なんか、そういう面白さって、テレビを見ている人にも伝わるんじゃないかと信じているところはあります。

 僕は十何年劇場だけでやってきて、その後、テレビに5、6年出してもらっている身ですけど、劇場同様に、テレビってやっぱりスペシャルな人材が集まってるんやなって、肌で感じています。例えば、番組で扱う物事の事実関係なんかを調査するリサーチャーさんとか、スゴい人は、本当にスゴいですから。徹底的ですよ。舞台や本に比べればテレビは浅いだとか表面的に過ぎないとか、いろんなことを言われがちな時代だと思うんですけど、両方の世界に関わってる自分としては、テレビってまだまだ面白いし、だからこそライブ空間でのお笑いもあり、バラエティ番組もありの、いい関係が続くと思っています。

 

写真=榎本麻美/文藝春秋

またよし・なおき/1980年大阪府寝屋川市生まれ。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のお笑い芸人。2015年「火花」で第153回芥川龍之介賞を受賞。著書に、『第2図書係補佐』『東京百景』『夜を乗り越える』『劇場』などがある。

INFORMATION

「さよなら、絶景雑技団」
【会場】よみうりホール(東京都千代田区有楽町1−11−1 読売会館)
【日時】2017年9月9日(土)開演 18:30、9月10日(日)開演 18:00
【出演】ピース・又吉直樹、グランジ・五明拓弥、しずる、ライス、サルゴリラ、囲碁将棋・根建太一、ゆったり感・中村英将、井下好井・好井まさお、パンサー・向井慧、スパイク・小川暖奈
【料金】前売6,000円/当日6,500円(税込・全席指定)

「『やぁ』、朗読会」
【会場】よみうりホール(東京都千代田区有楽町1−11−1 読売会館)  
【日時】2017年9月10日(日)開演 13:30
【出演】ピース・又吉直樹、グランジ・五明拓弥、しずる・村上純
【料金】前売3,000円/当日3,500円(税込・全席指定)

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